(話はさかのぼり、貴方が樹海近くを飛行していたころ……)

妖怪の山ふもとに広がる樹海……。日の光も満足に降り注がないこの場所は嫌な「気」が集まりやすい。ゆえに人も妖怪も気味悪がってめったに近寄っては来ないのだ。

私はそんな樹海でそれを集めるのがお仕事。人間の為、そして山の住民の為。地面からわずかに浮遊しつつゆっくりと舞を舞うようにくるくると回ると嫌な「気」が一緒に渦巻き私に寄ってくる。

これら瘴気の正体は災厄。普通は目にも見えないものだが、ここまで渦巻くと青みがかったくすんだ灰色のような煙のように目でも見えるようになる。誰も触れてはいけない、触れさせてもいけない。だから私は一人ぼっち。これを浄化してくれる他の神様に引き渡すまでは。

そんな折、強烈な瘴気を感じた気がした。厄? それとも違うもの? とにかくあんなものを放っておくわけにはいかないわ。私は引き寄せられるようにそちらへ浮遊する。薄暗い樹海をひたすら進むうちに突如日の光が私の視界全体を覆った。

っ!? まぶしい!

何度も瞬きながら状況を確認。くすんだ灰色の向こう側には真っ黒い岩が落ちていた。先ほどから感じる強烈な瘴気はあの石から出ている気がする。どうしよう……? これも持って行ったほうがいいのかしら?

と、私は別の気配を感じた。今度ははっきりとした生者の気。いけない、鉢合わせなんてしたらあの方に厄が……。

それでも黒い岩は調べたかったし、万一近づいてきた人間や妖怪があの危ない岩の特性を知らずに触れようとしたら私が全力で止めなければならない。そういうわけで、あまり離れるわけにもいかず物陰に隠れて様子を見ることにした。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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