神奈子「忘れもしないあの日……。幻想郷の空が割れた日があったんだ」

空が割れる? 随分と凄いことをやってのける奴がいるんだな。

神奈子「そう、銀の鳥が幻想郷の結界を突き破って飛び去ったあの日だ。異変と言っても差支えないほどの衝撃だった」

なんと、アールバイパーが幻想入りする瞬間を目撃していたのだという。これはもしかしたらアールバイパーの謎に近づけるかもしれないぞ。俺は次の発言に備え集中する。

神奈子「傷ついた銀の鳥『アールバイパー』はそのまま樹海に墜落。その後オーバーテクノロジーを巡ってスキマ妖怪とお前の所の超人住職が争ったのは知っているな? 私もその戦いに参加したかったが、あいにく足が遅くてたどり着いたころには、銀翼も争っていた二人もすでにこの場から姿を消していた」

なんという運命のいたずらだ。俺はもしかしたら守谷神社の勢力に属していたかもしれないというのだ。だが、技術革命や新しいものに目のなさそうな神奈子さんが、戦いに加護を持つ軍神がこんなにあっさり手を引くとは考えにくい。つまり手を引くに相応しい何かを得たに違いない。そしてその答えは神奈子さんが今まさに手にしているではないか。

貴方「そうか、俺はあの時に破損したオプションを落とした……」

神奈子「察しがいいな○○。その通りだ。突如幻想郷上空に現れたオーバーテクノロジーの欠片。ああ、あれはまさしくオーバーテクノロジーだった。私の知る限り幻想郷はおろか、この地よりも科学の発達した外界にさえこのようなものは存在しない」

さすが外界出身。アールバイパーが明らかに異質なものであることを感じ取っている。が、その超技術の出どころにはあまり興味がないらしく、彼女は意外なことを口にしていた。

神奈子「これを回収した私は解析を行い、そして推測は確信へと変わった。スキマ妖怪はそのことで不安を感じていたようだが、私は違った。紫には災厄の塊だったとしても、私にとってはまさに『偉大なる者共が作りし鉄塊』だった」

浮遊する円錐を手のひらの上でクルクルと回しながら続ける。

神奈子「誰が生み出したのかまでは知りうることはできなかったが、この際誰だっていいじゃないか。これだけ素晴らしいものを作ったんだ。さぞ偉大なお方だろう。このオプションを解明すれば、新たな技術革命を幻想郷で引き起こせる……と」

俺が落とした超技術の塊、その技術をもとに新たな兵器を生み出したというのだ。まさに紫が恐れていた事態が目の前で起きている。

待てよ、こんな話どこかで聞いたことがあるぞ。早苗さんの操る異質なる戦闘騎は突如幻想郷に現れた謎の超技術から生まれた。そして戦神が口にする超技術を「偉大なる者共が作りし鉄塊」と呼称している。

「偉大なる者共が作りし鉄塊」はまたの名を……「Vastian's steel(ヴァスティアンズ・スティール)」、縮めて「Vasteel(ヴァスティール)」という。まさか……!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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