こんなところに近づく物好きは一体誰? 間もなく現れたその姿は明らかに人のものではなく、翼を持った妖怪のものであった。

白銀の翼は日光に照らされて神々しいまでに光を放っている。均整の取れた整ったラインは美しくてまるで人の手によって作られた彫刻のよう。とにかくこんな薄汚れた樹海などには全然似合わない銀色の鳥の妖怪であった。あれが神様だと言われれば私は信じてしまうだろう。

そんな銀翼の妖怪が見るも禍々しい黒い岩と対峙しているのだ。駄目っ、それ以上近づいては……。かといって私もうかつに出ることも出来ない。ただ祈るしかない……。

ハラハラと銀翼の様子をうかがう。周囲をぐるぐると回り、だが最後まで近づくことなくこの場から立ち去っていった。

よかった……。関係のない人がこんな見るからに危険な瘴気にあてられるのを見るのは本当に忍びない。さて、誰もいなくなったことだし、私も調べてみましょう。そう思い日光降り注ぐこの場所まで向かうのだが……。

なんと黒い岩が地面に溶け込むようにゆっくりと沈み込むと、そのまま跡形もなく消えてしまったのだ。えええっ!? 慌てて消えた辺りの土を両手で掘り起こしてみるが、黒い岩など影も形も残っていなかった。

あれは一体何だったんだろう? 岩と同時に強烈な瘴気も消え失せ樹海はまたいつも通りの静かな空気に戻る為、調べることも出来なくなったし、そもそも調べたところで答えにたどり着ける保証などどこにもない。

だけど一つだけはっきりしたことがある。

あれは、普段私が集めている厄とは根本的に違う何かであること……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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