幻想郷で出来た初めての人間の友達。心躍るところだが、次の瞬間、山が大きく揺れた。

早苗「地震っ!?」

いや、違う。その証拠にズドンと何かが落ちてきた音が直後に響いてきたのだ。あれは空から何かが落ちた音。まさかこのタイミングで隕石群が? 俺は反射的に早苗さんを庇うように腕と自らの胴体で覆う。

神奈子「こんなに降り注ぐだなんて明らかにおかしい! いったいどうしたというんだ?」

膝をついて転倒しないようにする神奈子。その間にも妖怪の山に幾多もの小隕石が降り注ぐ。

貴方「こっちにも来るぞ!」

1つの黒い塊が轟音を立てながら守矢神社に急接近。迎撃しないと! 俺は銀翼まで歩みを進めようとするがいまだに地面の揺れが収まらずに転んでしまう。いけない、間に合わない……!

早苗「ひっ……!」

万事休すのところ、神奈子が俺達を阻むように立ちふさがった。

神奈子「うちの早苗をやらせないよっ!」

そのまま腰をかがめると背中に背負ったしめ縄と御柱から無数の弾幕を展開。しかし降り注ぐ隕石を砕くには至らず、そのまま神奈子の背負うしめ縄に隕石が直撃してしまう。激しい激突音を立てて神奈子は数メートル吹っ飛んだ。

神奈子「うぁっ……」
早苗「神奈子さまー!」

軍神様の体を張った迎撃で俺たちは無事だったが、身代わりになった神奈子の身を案じて駆け寄る。

しめ縄はぐにゃりとひしゃげ、自慢の御柱も折れてしまっていた。神奈子もうつぶせに倒れ伏したままで起き上がる気配がない。

早苗「そんな……。こんなことって……」

悲観に暮れる俺達。だが、少し距離を取って何かを訝しむのは守矢神社のもう一柱の神様、諏訪子。

諏訪子「おかしいな……。だって直撃じゃないんだろう? あの速度での激突とはいえ即死だなんて神奈子の頑丈な体ではあり得ない……」

そう口走った矢先、むくりと起き上がる神奈子。安堵する早苗であったが、諏訪子はその表情を崩さない。

諏訪子「早苗、様子がおかしい!」

俯きながらフラフラと歩み寄る神奈子は確かに異常である。いつでもどっしりと構え、笑う時は豪快に笑い、弾幕するときは豪快に弾をばらまく明快なのが神奈子である。だというのに今はまるで操り人形のように挙動が弱弱しくふらついているのだ。

これは確かに様子がおかしい。早苗さんも表情を曇らせてその様子を見届ける。そして俯いていた神奈子がついに顔を上げる。

神奈子「神遊びの時間だ! オマエラ、武器を取れ! 弾幕乱れ飛ぶパーティしようぜ!」

裂けるのではないかというほど吊り上がった口元。そこから覗く歯がギラギラとしている。その顔は明らかに正常なものではなく飢えた獣のようなものであった。

不気味に砲台のようにこちらを向く御柱に明らかにヤバそうなオーラを出したしめ縄。そしてこちらを睨みつける神奈子の瞳は夕陽をギラギラと反射させていた……



銀翼と妖怪寺TFV VIIに続く……

あとがき

名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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