少し離れていた早苗さんも爆発に巻き込まれまいと俺の後を追うように上昇していた。眼下ではその巨体を維持できなくなったゴマンダーが大爆発を起こしていた。宿主を失ったインスルーが必死の抵抗を見せているが、元々ゴマンダーの養分を貰って生きていたインスルーだ。先は長くないだろう。

貴方「やりぃっ! ……で、俺の体大丈夫そうか?」

緊張がほぐれると真っ先に気になることを聞いてみる。うっすらと水面に映る俺はちゃんとした銀色の翼。特に問題はない筈……。

早苗「ええ。私の目の前にいるのはちゃんとした超時空戦闘機、アールバイパーですし、パイロットもちゃんと○○さんですっ♪」

それを聞いてほっと胸をなでおろす。バイドがいなくなったことで山頂の湖も汚染が止まり、ひとまずは幻想郷そのものがバイド化するという最悪の事態は回避できたことが分かった。

早苗「でも……これで終わったわけではありません」

ここ最近幻想郷で観測された流れ星、それは物質を付喪神化させるという恐ろしい性質を持っており、さらに悪いことにその正体はバイド体だというのだから。この隕石がなくならないかぎり、バイドはまた幻想郷に入ってくるだろう。

俺はこのような事件を知っていた。バイド討伐を行ったR戦闘機を放置した結果、格納していたコロニーごとバイド化してしまい、それがまるで黒い種子のような形を取って地球に降り注ぐという事件……。

貴方「『サタニック・ラプソディー』……」
早苗「『デモンシード・クライシス』……」

二人の口からは違う事件名が出てきたが、これはどちらも正解である。ほぼ同じ時期に発生した「降り注ぐバイドの種子に関連する事件」という意味では共通しているのだ。

だが、どうして? 別に幻想郷はバイドに襲われたことなく、もちろんバイド化したR戦闘機を格納したコロニーが宇宙に浮かんでいるはずもない。なのにバイドの種子が降り注ぐのだ。まるで理由が分からない。

思索を巡らせてみるが、どうやら俺達にはそんな猶予すら与えられないらしい。再び地面が揺れる。また何かが衝突したのか!?

諏訪子「また地震……いや、バイドの種子が落ちてくる!」

これ以上被害を出すまいと神奈子と諏訪子が空中めがけて弾幕を張る。だが、今度は少し離れた場所に着弾。ほっと胸をなでおろすが、今度はその物量に驚く。ひっきりなしにバイドの種子が着弾しているのだ。

神奈子「と、とりあえず神社に戻るぞ!」

背中にしめ縄のない神奈子さんは足が速い。俺達もおいてかれまいと歩みを早めるのだが、早苗さんが表情をこわばらせて空を指さすのだ。

貴方「早苗さん、ここは危険だ!」
早苗「いえ、だってアレって……」

微動だにしない早苗さん。しびれを切らし、彼女の指さす空を見ていると……。

貴方「あっ、あれは……!?」




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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