それは心臓のようなグロテスクな見た目をしていた。あちこちに無数に開いた穴から数珠つなぎの蛇の怪物が出たり入ったりしており、まるで奴らの住処のようになっている。
親玉の上部には青色の瞳が瞬きしており、それが俺たちを捉えた。出たり入ったりを繰り返していた蛇は一斉にこちらに襲い掛かる。
貴方「早苗……。こいつって……もしかして、いや、もしかしなくても……」
早苗「『
インスルー
』と『
ゴマンダー
』……。そんな、バイドが幻想郷にやってくるだなんて……」
一度は回避したと思った最悪の事態。だが、結局奴らはこうやって肉塊を蠢かせながら、俺たちの前に現れた。
バイド、それは26世紀の人類が生み出した惑星級の星系内生態系破壊用兵器のなれの果て。
あらゆるものに取り付き、同化するという恐ろしい能力を持った奴らだ。さっきまで乗っ取られかけていた神様はその脅威を知らないのか、キョトンとしながら聞いてくる。
神奈子「ばいど? バイドってこの前に早苗がやってた『アールなんちゃら』ってゲームに出てた?」
無言でうなずく早苗さん。恐らく付喪神のコアだと思っていた隕石の正体は「バイドの種子」。神奈子さんのしめ縄と衝突することでしめ縄と御柱がバイド化してしまったのだ。
しめ縄に取り付いたバイド体が神奈子さんを完全に侵食する前に切り離されたのが幸いしたのか、彼女は辛うじてバイド汚染を免れたのだろう。
しかし相手がバイドと判明した以上、猶予はない。こんな山頂の湖に居座られては下流、つまり河童の里はもちろん山のふもと、ひいては人里までがバイド汚染を受けてしまう。
先んじて行動に移ったのは諏訪子。俺達を庇うように躍り出ると先ほどバイド化したしめ縄と神奈子を分断した鉄の輪を投げつける。するとゴマンダーを庇うようにうねるインスルーが接近し、その体で受け止めようとするが、それよりも速く鉄の輪はゴマンダーの一部を斬りつけた。
神奈子「やるなっ、諏訪子」
いつの間にか新しい着替えを持ってきたのか、元の服装に戻った神奈子が純粋にライバルを称賛していた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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