だが、違和感は俺も感じていた。確かにこんなのはおかしいのだから。俺達はゴマンダーの弱点に2度も再生不可能なくらいの致命傷を与えたのだ。
いくら最強の生体兵器たるバイドだって不死ではない。形成するバイド体が死んでしまえばそれまでであり、息を吹き返すなんてありえないのだ。
貴方「違う、ゴマンダーはそもそも死んでいないんだ。恐らくコアはもう1つある」
俺には心当たりがあった。それはゴマンダー内部に存在するもう一つのコア。あちらを同時に破壊しないとゴマンダーを撃破できない。
早苗「○○さん、それってどういう……はっ、まさか!?」
貴方「『ゴマンダーさんの中あったかいナリ』。そういうことだ。俺は内側から奴のコアを叩くから早苗さんはもう一度『眼』を突くんだ!」
あの醜悪なバイド体の中に入って戦闘を行う。生身の神様たちや早苗さんではたちまちバイド汚染を受けてしまうだろう。というか女の子にとって、あんなところで任務を行うのはあまりに荷が重すぎるだろう。
もちろん俺とてバイド汚染のリスクはあるが、アールバイパーという鎧を身にまとっている以上、ある程度は耐えられるだろう。それに誰かが奴の息の根を止めなければ、幻想郷全土がバイドに支配されてしまう。それは何としても避けなくてはいけない!
俺は引き留める早苗さんの言葉を無視し、ゴマンダーへ接近した。
今も体を震わせながら強酸をまき散らしている。確かにこれ以上の接近は困難だが何か手段があるはずだ。そうやって様子見をしていると、ゴマンダーの穴の一つが不自然に押し広げられた。
ヘビのようなバイド、インスルーが飛び出してきたのだ。その少し下、俺は細長い体を降り注ぐ酸の雨への傘代わりに、ゴマンダーの内部に突入した……!
ムワっと蒸し暑いゴマンダーの内部。汗のように外側へまき散らしていた強酸はもちろんここでもあふれ出ており、まるで胃袋の中である。外敵を排除せんと液体が降りかかる。
バイド汚染も心配だし、ここは短期決戦を心がけよう。俺はネメシスとコンパクを呼び出すとうねりながらこちらをひき殺そうとするインスルーをいなしつつ、上部からコアが垂れ下がる瞬間を待った。
……今だっ!
貴方「操術『サイビット・サイファ』!」
まずはオプションの突撃。オレンジ色のオーラをまとい、コアを殴りつけると、まるでサンドバッグのように左右に大きく揺れた。
思わぬ反撃に驚いたゴマンダーはコアを引っ込めようとするが、それよりも速くオプションを呼び戻す。フォーメーションをローリングに変えるとレイディアントソードを取り出し、魔力を剣に収束。限界まで溜めた後、声高らかにスペルカードを掲げる。
貴方「重銀符『サンダーソード』!」
剣からほとばしる閃光がコアをゴマンダー本体ごと切り裂いた。あちこちで爆発を起こす肉塊。引き裂かれた「眼」の裏側からキラキラとした夕陽が顔をのぞかせる。俺は空めがけて全力で飛翔。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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