ナイフを持った咲夜の体当たりを避けるべく、銀翼を宙返りさせる。水面が目の前に広がってきた。琥珀色の水面が再びその色を失う。性懲りもなく時間を止めたか。
そしてその際に俺は初めて自分の姿を目にしたのだ。醜い肉塊と思っていた自分の姿は銀色の翼を携えた美しい姿のままであったのだ。
貴方「こっ、これは……アールバイパーそのものだ」
仮にバイドに取り込まれているのならばその姿は醜いものになっていた筈。だが、そのような変異はまるで感じられない。あのバイドの森に閉じ込められていたというのに、いや、俺は直には触れていないんだ。
貴方「そうかっ、提督! あの時ジェイド・ロス提督が身を挺してこの俺を……」
ようやく理解できた。俺は目を覚ました時、何故か「コンバイラ」が異常に膨張した形態、つまり「コンバイラリリル」の中に格納されていた。俺がバイドに汚染されないように自らの中に格納して庇ってくれたんだ。その命を犠牲にして……。
貴方「ううっ、提督……。てぇとく……!」
俺はただただ涙した。俺は色々な人の手によって生かされてきたのだ。
貴方「提督の為にも、生き延びるぞ。生き延びてやるっ!」
だが、安心はまだできない。今はこの危機的状況を打破するべく咲夜を倒して……いやっ何かが動いているっ?
今は咲夜が時間を止めている筈で、能力を使った咲夜本人と時間に干渉する能力を受け付けないアールバイパーだけがこの場で動けるはず。なのになぜ影が三つも動いている? 一つは間違いなくアールバイパーのもの、もう一つは咲夜さんのものだろう。じゃあ残ったもう一つは……?
混乱するさなか、周囲に色が戻った。そして驚愕した。前から、後ろから、大量のナイフが一斉にこちらに向かって飛んできたのだ。
貴方「この距離からだと? なんてナイフ投げの腕前だ」
だが、今はメイド長を相手している場合ではない。俺が眼にした謎の機影。何もかもがおかしくなった幻想郷、その原因かもしれないと踏んだからだ。
貴方「悪いな、お前と遊んでいる時間は無くなった。本気で行かせてもらう。来いっネメシス、コンパク!」
飛んでくるナイフ目がけてこちらが撃ち込んだのはグラビティバレット。それも普通のものではない。四方八方からおびただしい数が飛んでくるのを全て対処しないといけない。オーバーウェポンを発動させていたのだ。
着弾してすぐに疑似ブラックホールは周囲に広く広がっていく。オプションたちとこの弾丸を次々とブラックホールに撃ち込み、その大きさを増していく。
貴方「重銀符『ブラックホールボンバー』だ。お前のナイフは全部吸い込んでやったぞ」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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