咲夜「そ、そんなまさか……!」
貴方「ご丁寧に俺ばかりを狙うからな。みんなまとめてブラックホールの中さ。そのナイフ投げの腕前が逆に仇となったな」
グラビティバレットが展開するブラックホールは短時間で消えてしまう。それはオーバーウェポンで強化しても変わらない。むしろ範囲が広まったぶん純粋な火力は落ちていると見ていいだろう。
手持ちのナイフがなくなったか、彼女は夕陽を受けてキラリと光る刃物に目をやると、懐中時計を取り出し始めた。
なるほど、無尽蔵に見えたナイフはわざわざ時間を止めて拾っていたってことか。だが、そうはさせねぇ! 俺は急接近するとリフレックスリングを発射、メイド長の腰を捉えると、確保した。
貴方「おっと、時間止めてその間に落ちてるナイフを拾おうったってそうはいかねぇ。手持ちのナイフはなくなったんだろ? 十六夜咲夜、あんたの負けだ。このまま湖に沈めるも無抵抗の腹にミサイル撃ち込むも俺の思うがまま」
ギリと歯を噛む音、屈辱に顔を歪めている咲夜さんであった。思えばこれが正しい構図だ。アールバイパーには咲夜さんの能力は通用しない、地力さえあればこうなるのは当然。
貴方「では情報を吐いてもらおうか。思えばアンタのところの魔女に酷い尋問受けたことがあってな。お前に捕まっちまったせいでよ!」
おもむろに咲夜さんを掴んだままリングを遠くに飛ばす。その先には湖の水面。そう、水中に沈めてやったのだ。急なことにもがき手足をばたつかせている。再びリングを引き上げる。ゼエゼエとずぶ濡れのメイド長が息を弾ませていた。
貴方「忘れるな、お前の命はこの俺が握っている。今度反抗的な態度を取ってみろ、もっと長く沈めるぞ」
今も冷たい目つきでこちらを睨みつけてきた咲夜さん。聞くことはただ一つ。
今の俺は追われている身だし、少しでも時間が惜しい。少々乱暴だがこうやって情報を得ようと試みたが……こりゃ口割るのも一苦労だろうな。
貴方「レミリアに……、いや紅魔館に何があった? 誰にやられた、俺はそいつをブチのめしてやりたい」
そう答えるのがさも当然と言わんばかりに彼女は答えた。俺の一番聞きたくなかった名前を。
咲夜「何を寝ぼけたことを。アールバイパーにお嬢様の館は蹂躙された……」
無言で俺は再び咲夜を水中に沈める。数秒おいて再び引き上げた。
貴方「そんな筈あるか! 俺は今さっき霧の湖に来たところだぞ。さあ本当のことを話せ。いずれ永遠に湖の底に突き落とすぞ」
しかしそれを最後に彼女はまるで口を開こうとしなかった。どこか侮蔑や憐れみを持ったまなざしでただ一点を、アールバイパーのコクピットの中にいる俺を睨んでいる。ええい気に食わない!
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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