真っ暗な視界の向こう側にわずかに赤色が見えた気がした。人の形をしている。誰かが人形を捨てていったのだろうか? 酷い事する人もいるもんだ。だが、近づいて明らかな異変に気が付いた。この人形、等身大なのかと言わんばかりの大きさをしていたのだ。

何よりも動いている。よ、妖怪!?

人形はこちらに気が付くとゆっくりと近づいてきた。俺は恐怖のあまり後ずさりした。そう、本当に自暴自棄になんてなってなかったのだ。いざ脅威が目の前に迫ると体が震えてしまう。

バイパーのところまで戻って迎撃しないときっと彼女も俺に敵意を持っているだろうし、そうでないとしても食料として襲われる可能性も無きにしも非ず。

だが、不幸にも俺はその途中で木の根っこだろうか、とにかく足を取られ、思い切りバランスを崩してしまう。さらにその先には不運にも石でもあったのか、後頭部に硬いものがゴツと当たり、目の前で星が瞬いた。

だ、駄目だ。体が動かない。ああ、妖怪だか人形だかも近づいてきた。もうおしまいだ……。

薄れゆく意識の中、俺は自らの最期を悟る。これも運命か、と。ああ、最後は結局妖怪に襲われて無縁塚行きか……。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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