再び意識が覚醒する。あの時は後頭部に硬いものがぶつかってきたが、今はとても柔らかいものに包まれている。それと同時に後頭部の痛みと頭に何かを巻きつけられている感覚を認識した。この感触は包帯。誰かが俺を手当てしたのか?
俺の手当てをしたということは、少なくとも俺に敵意を持たない存在が傍にいるということになる。真っ先に思い付いたのはネメシスとコンパク。彼女たちは俺がどんなに追い詰められようと裏切ることなんてしなかった。が、心配そうに顔を覗き込むのは上海人形と半霊。そう、俺の視界に二人ともいるのだ。つまり、俺を介抱しているのはネメシス達ではない。
では誰なんだ? 訝しんでいると緑色の髪を首元で束ねるという奇抜な髪形のした少女と目が合った。こいつ確か……
貴方「うわぁぁぁっ!!」
緑髪の少女「ああっ、まだ動いちゃ駄目!」
気を失う前に迫ってきた妖怪じゃないか。俺は反射的に飛び起きたが、その瞬間に後頭部に激しい痛みが走りうずくまる。
そんな俺の肩を抱くとまた横になるようにと言われた。その際に正座をして待っている。そうか、俺は彼女の膝を枕にしていたのか。
……味方だ。この子はこんな俺を受け入れてくれるんだ。
俺はあの地底での戦いでジェイド・ロス提督を失い、白蓮さんともはぐれ、バイド化したのではないかとビクビクし、帰る場所を失うという絶望に苛まれてきた。
そして身に覚えのない悪行を指摘され散々追い回され、人も妖怪も近寄らないような陰気な場所に追いやられ孤独に打ちひしがれていた……。
だけれど俺は一人ではなかった。そんな俺に……救いの手が差し伸べられたのだから。大げさかもしれないが、彼女は女神様に違いない。
貴方「辛い……」
久方ぶりだろうか、俺は自らの心情を口に出していた。悲しい、寂しい、怖い。だからとても心が辛い。再び俺は両目から大粒の涙をこぼすとその胸に抱きつき、ただただ声を上げながら大泣きした。
女神様「よしよし。こんなに厄を溜めちゃって……(なでなで)」
何もかもが敵となり孤独になった俺に女神様が手を差し伸べた。そして、これが絶望の暗闇の中、キラリと光射す一点の星となるのであった。
銀翼と妖怪寺VG IIに続く……
あとがき
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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