あの日ほど、私は自らの行動を後悔したことはありませんでした。

黄昏時も夏が終わればすぐに過ぎ行き、夜の帳が降りるもの。でもここ命蓮寺は今も赤々とした光に包まれていました。

燃えている……。そう、寺を燃やす大きな炎がこの夕闇を、そして私の姿を不気味なまでに明々と照らしていたのです。

倒れているのは一輪と星ちゃん……。雲山が怪我の応急処置をしていますが、彼が居なかったら二人とも無事ではなかったでしょう。

ムラサは一人で柄杓を手に燃える命蓮寺へ突っ込み消火活動を行っている。そんな中私はただ立ち尽くす事しかできなかったのです。

何が起きたのか分かることは出来てもまるで理解出来なかった。それだけショックなことが起きてしまったのです。

あの日は幸せな一日に、安堵できる光あふれる日常が再び幕を開けるはずでした。地底のバイドを滅ぼし、地下と幻想郷をバイドの魔の手から救い出してそして地上に帰る筈でした。

そう、実際にはそうはならなかったのです。

白蓮「○○さん……」

地底のバイドが最期の力を振り絞り、銀翼を異次元へ引きずり込んでいったのです。

だからもう会えないと思った。でも、帰ってきたのです。夕陽が照らされる中、少女のものとはまるで違うシルエットが浮かび上がったのです。私は幸せの絶頂を迎える筈でした。

しかし……私達は希望から絶望へ叩き落とされてしまったのです。

白蓮「○○さん……。どうしてこんなことを……」

それが今日の夕方の出来事。そして今に至るのです。私の目の前で起きた惨劇、何が起きているのか分かりこそしたものの、理解することが出来ませんでした。

ジェイドさんは、瞳孔の向こう側はバイドが蠢く異層次元だと口にしていました。私の必死の呼びかけにも答えずに動きを止めない。もしや既にバイドに……?

あの日ほど、私は自らの行動を後悔したことはありませんでした。あの時、もっと強く○○さんを引っ張っていたら一緒に幻想郷に帰れたのではないか……と。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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