夏の終わりの夕暮れ。俺の意識は混乱していた。
見覚えのある場所、見覚えのある仲間。
だけど……
だけど……なぜ?
柄杓からばら撒かれた弾幕をレイディアントソードで斬り伏せながら俺は対話を試みた。状況が全く読めない。どうしてこんなことになっているんだ?
ムラサ「聖から話は聞いている。君はバイドの親玉に取り込まれたそうじゃないか。その時にバイド化してしまった。そうでなければ合点がいかない!」
ぐっ……、あの「漆黒の瞳孔」のことか。俺とジェイド・ロス提督は奴に取り込まれている。提督は中で朽ち果てていたが俺はどうにか息を吹き返して幻想郷に戻ってきた。その時に……。
貴方「待ってくれ、俺はバイドになってしまったのか。しかしこの通り理性は残っている。ジェイド・ロス提督のように受け入れれば……」
全てを言いきらぬうちに再びアンカーで銀翼を殴打してきた。
ムラサ「それが理性なら君は悪意に染まってしまったんだ。命蓮寺を襲撃し火を放ち、人里をもその毒牙にかけようとしたではないか! 新聞の記事にもなっている。私の知っている○○はそんなことしない。君はバイドの本能……あらゆるものを攻撃し、破壊し、喰らい、同化する本能に支配されてしまったんだ!」
命蓮寺を? 人里を!? 違う、俺はそんなことしていない! していない……筈だ。
いや、本当にしていないのだろうか? あの「漆黒の瞳孔」に取り込まれてから意識を失うことが多かった。もしもその間に無意識にこれらの凶行に走っていたとすれば……。
貴方「そんな……。俺は、俺は……!」
バイドだというのか? 答える声はない。再びアンカーが銀翼を潰さんと迫ってきたのだ。あの速度で直撃などしたら銀翼ごと俺の脳天は潰れてしまうだろう。いくらバイドとなってもこれは致命傷だ。
俺は確かにバイド異変を解決させ、バイドは幻想郷には残っていない筈だ。ただ一人俺を除いて。ならばここで大人しく仕留められれば幻想郷はまた平和になるのだ。でも俺は本当にバイドなのか? しかしあのムラサの憎悪の表情、確かに俺はそれだけのことをやって来たのかもしれない。
俺は……
大人しく死を受け入れる
死ぬのは怖いので避ける
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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