アンカーが撃ち出される。避けるか、いや、手負いのバイパーの機動力ではあの速度を交わすことは不可能。仕方あるまい。真正面から……

貴方「リフレックスリング!」

……受け止めるっ! 俺は逆回転するリングを突き出し、アンカーを掴もうとした。しかし重すぎる上にこの速度。う、受け止めきれないっ。

だが、ここで諦めるわけにはいかない。ネメシス達を呼び出してローリングフォーメーションを取ると、魔力を銀翼に収束させる。

貴方「操術『オーバーウェポン』!」

回転の速度が段違いに上昇する。迫るアンカーを受け止めきった。更にここからハンマー投げの要領で振り回し、他の弾幕を薙ぎ払った後でこいつをそっくりムラサに返す。俺はグルングルンとリフレックスリングを振り回し始めた。

ムラサ「陰陽『アンカーシュート』かしら?」

いかん、読まれているっ。ムラサは大きな錨で身を守るように担ぐと、もう一つのアンカーでこちらの掴んでいた鉄の塊を真っ二つに割ってしまった。しまった、他に手はないのか、今はオーバーウェポンを発動している。何かいい案は……。

見ると薄緑色の煙がリングに集まっているのが分かる。そして霜のようにアンカーにこびりつき始めた。あれは何だ? もしや周囲の空気を濃縮して固めているのだろうか?

確かに周囲に充満する粒子となったバイド体を固めることでバイド兵器たるフォースを生成するというスペル禁術「アンカーフォース」ってのは存在した。しかしここ幻想郷にはもはやバイドはいない。では何が集まっているのか?

ムラサ「あれは空気中の魔力? 一体何を……?」

魔力だと? 魔力の煙ってのは緑色なのか? よく分からないがその緑色がさらにアンカーにくっついていき、球体の形へと変貌していた。透き通った緑色の球体。この形はフォースだ。しかしバイド体などもはや幻想郷には……。

貴方「いや、一つだけあった。バイド体を使わない完全人工のフォースが」

そうか、こいつは……。いいだろう、さすがにアンカーフォースほどの強靭さや火力は期待できないだろうが、そこで驚く水兵に教えてやろう。声高々とスペル名を口にする。

貴方「重陰妖『シャドウフォース』!」

早速透き通った緑色の美しい角ばった球体をムラサめがけてシュートした。撃ち出し方は簡単、狙いをつけて逆回転しているリフレックスリングを本来の回転方向に戻してやればいい。

よし、効いているようだ。シャドウフォースならバイド化の心配も皆無。まとわりついてダメージを与えている。再びアンカーで叩き落とそうと振り下ろしてきたので、慌てて俺はフォースを呼び戻す。

貴方「戻ってこい!」

前方に転回したままのリフレックスリングの回転方向を反転させる。どこぞのアンカーフォースと違い、暴走していないフォースはクイっと機敏な動きで元の鞘……というかリングに収まる。

もう一度フォースシュートを行おうと思ったが、ドロリと溶けて消えてしまった。やはり長時間の運用は不可能か……。だがムラサは怯んでいる。今のうちに命蓮寺に戻ってみよう。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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