貴方「俺は地底に蠢くバイドという妖怪を退治してすべてを終えて地上へ戻ったら、命蓮寺はなくなっており、そのメンバーだったムラサ船長には物凄い殺意を抱かれていた。最初は俺がバイドとの戦いでバイド汚染してしまったと思ったが、後にそれは違うという事が判明した」
俺の話す声のほかにお茶をすする微かな音と煎餅をかみ砕くこもった音以外に聞こえぬ静寂の中、事態の確認をする。ああ、俺はバイド化していない。ジェイド・ロス提督が命を懸けて守ってくれたから……。
雛「そうね。今回の異変はノッペリとした変な鳥の妖怪の……」
貴方&にとり「だから変な鳥の妖怪じゃなくて、超時空戦闘機『アールバイパー』!」
同時にツッコミの声が入る。同時だ、本当に寸分の差もなく。
雛「なんでそんなに息ぴったりなのよ……。違うわ、私はあの乗り物によく似た変な鳥の妖怪って言おうとしたのよ」
貴方「なんだ、偽アールバイパーのことか。しかしいちいち言いにくい名前だ」
にとり「それにしても本当にそっくりだったね。だけれど似ているのは見た目だけ。内面はまるで深淵の底のように真黒で、とても暴力的だった。ここでは仮に『バイオレントバイパー』と呼ぶことにしよう」
とにかくそのバイオレントバイパーとやらが本物のアールバイパーを貶めるためにあちこちで暴れまわっていたらしい。
にとり「幻想郷を2度も救った英雄だったんだ、『文々。新聞』でもその豹変ぶりは記事になっている。そして今しがた霧の湖で捨てられた新聞なんだけれど……」
驚愕した。そこに写っていたのは霧の湖でリフレックスリングを用いて咲夜さん捕えて水責めにしている銀翼の姿が記事になっていたのだ。
雛「酷い……。ただ乱暴するだけでなく、散々苦しみを与えようとこんな手を!」
貴方「いや、これは俺が、本物のアールバイパーがやったものだ」
非難されるかもしれないが、ここは正直に告げておくべきと判断した。
貴方「咲夜さんにバイオレントバイパーだと思われて襲われてさ、返り討ちにしたんだ。その後紅魔館を襲った真犯人を吐かせようと焦った結果、俺は彼女に拷問じみたことをしてしまった」
えっ、と口を指先で押さえながら顔を引きつらせる雛。にとりも苦い表情をしていた。そうだ、あの時の俺は随分と酷い事をしていた。サクサクと煎餅を食べる音が聞こえる中、俺は俯きながら続ける。
貴方「レミリア達を襲った真犯人はバイオレントバイパーで間違いないだろう。咲夜さんには見分けがつかなかったから、答えることが出来なかった。追われている身だったし早く情報を得たかった俺はあんな酷い事を何度も……」
自らの銀翼と瓜二つの存在を知っていたらこんな手段には出なかったのにと俺は腕を振るわせながら拳を強く握る。
にとり「まあ、してしまったことは仕方がない。全てが終わった後で詫びを入れに行くんだね。それよりも奴は、バイオレントバイパーは知ってしまった。本物が幻想郷に舞い戻ってきたことを。これがどういう意味かわかるかい?」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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