雷ほとばしる大剣を突き出しながら突進する俺。対して神子はスルリと回避するとほとばしる電撃すらもまるで寄せ付けない。

神子「妄想に囚われたものほど哀れな存在はない。ええ哀れなのです。滑稽さを軽く通り越して」

涼しげな面持ちのまま、神子はスペルカードを取り出していた。まずい、この至近距離でとんでもないものを仕掛けられたら……。

神子「光符『グセクラッシュ』」

淡々と単純作業でもするかのように、スペル発動の宣言をする。彼女から無数の七色の光が球体となり拡散し、銀翼のどてっ腹を撃ち抜いていく。

貴方「があぁっ!」

その一撃一撃が異常に重い上にそれが大量にあるのだ。銀翼は大破して地面に叩きつけられた。その衝撃でリデュースも解除されてしまう。

神子「○○、この際だからはっきりとさせておきましょう。私は幻想郷を平定したいから白蓮さんを封印したわけではありません」

ツカツカと剣を携えて近寄ってくる。

神子「そのなんとかバイパーとやらは勝手に暴れまわり、命蓮寺の名声に泥を塗ったのです。私が偽物をけしかけているだなんて馬鹿馬鹿しい。
そして仏教の権威が地に落ち、我々道教が人々を導くことになった。そんな状況に陥っても白蓮さんは最後まであの変な鳥の妖怪を信じ続け、そして私はある日人間達から幻想郷に仇なす妖怪を信仰するうさん臭い僧侶を退治してくれと依頼を受け、そして彼女を封印したのです」

白蓮さんは最後まで俺を信じて、その結果封印されてしまった? 信じられない、信じたくない。

貴方「嘘だ、適当な嘘をつくなっ!」
神子「いいえ嘘ではありません。全ては外界から来た銀翼が引き金となった。それは寺の妖怪達も認めています。そして同じく討伐の依頼が出ている貴方を命蓮寺の妖怪達に倒させれば命蓮寺は我々の傘下に入ることになる。もはや抵抗することは出来ない」

この時だけは一輪も神子を鋭く睨み付けていた。なるほど、やり直すとはそういう事か。神子の言いなりになってしまえば白蓮さんが封印から解き放たれた後も、もはや彼女らと張り合えなくなる。一輪はそうなった後に裏から独立を図ろうという魂胆なのだろう。

だが、そんな必要はない。俺の身は潔白なんだ。何が何でも元の日常を取り戻して見せる……!

神子「このままだと奴にトドメを刺すのは私になりますが、足止めをしたりして私に貢献してきたので、約束通り白蓮さんの封印を解きましょう。ふふ、お情けってやつです」

ニヤリと笑みを浮かべ、チラリと一輪を視界の端に捉える神子。またも屈辱に耐える表情を見せる一輪。

そしてこのいけ好かないミミズク野郎は俺の首をはねるべく、剣を振り上げる。一輪を、いや命蓮寺を救うにはまずこの状況を何とかしないといけないが、あいにくアールバイパーもこんな状態では何もできない。

俺は何もできないまま……目を閉じた。もはやこれまでなのか……。ドサリと首の落ちる音が鈍く響いた。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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