見え見えの罠に引っかかるつもりはない。だが、他にどうすればいいのだろうか? ジリジリと間合いを詰めてくる星。恐らくは宝塔から繰り出されるレーザーでこちらを攻撃するつもりであろう。あの星の掌に乗せられた宝塔……あれ、宝塔がない。
貴方「おい、宝塔はどうした?」
星「えっ、確かに私の手の中に……あれー!?」
先程までは確かに宝塔は星が持っていた。それは俺も見ていたし間違いない。だけど今はなくなっていた。いや、よく見ると宝塔が何もない空中に浮かんでフワフワと動いているではないか。
宝塔の周囲をよく見ると少女の姿が浮かび上がってくる。あれは……こいしじゃないか。勝手についてきたのか!
星「あっ、それを返し……!」
貴方「こいし、どこでもいいからそれをブン投げろ!」
割り込むようにこいしに指示を出す。すると、振り向くことなく元気に「はーい」と返事すると星目がけて投げつけたのだ。これも無意識の産物なのか、結果的に二人の指示を半分くらいずつ遂行したことになる。
星「あだっ!」
そのまま大きくバウンドした宝塔は地面を転がり……道の端のドブが溜まった溝に落ちていった。
星「あああっ、そんなぁ! ナズー、私の宝塔がー!」
パニックを起こして右往左往している。この暗がりではドブの中の宝塔を拾い上げるのに時間がかかるだろう。今のうちにアールバイパーに乗り込もう。
貴方「こいし、行くぞ!」
思いがけない味方の手を引いて夜の人里を疾走する。が、今の騒ぎで俺が人里に潜伏しているのがバレてしまったらしい。不意に人里に立ち込める霧が濃くなる。いや、この桃色の霧は自然現象ではない。その証拠にみるみる煙が集まっていくと大男の姿を取り始めた。
一輪「ついに見つけたわよ○○!」
冗談じゃない。あんな腕に握りつぶされたらまず命はないだろう。無視を決め込んで逃走しようとするが……
一輪「雲山からは逃げられないわ!」
反対側からも大きなひげ面の顔。まずい、これでは挟み撃ちだ。慌てて俺は細い路地裏へと潜り込む。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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