いや、ダンゴムシだと思ったが違う。これはダイオウグソクムシだ。あまりに異質すぎる光景。ダイオウグソクムシってのは深海に沈んだ海洋生物の死骸を食べて生きるいわば深海の掃除屋である。だが、幻想郷には海がないのでこんなのがいるはずはない。
つまり、何者かによって連れてこられたことを意味している。
更に付け加えるといくら大きな虫だからってここまで巨大で武装しているなんてありえない。
貴方「お前、『
バイオレントルーラー
』だな」
その巨大な体を起こして脚や触角をワシャワシャと蠢かせて威嚇してくる。なんということだ、封印を暴かれないようにベルサー艦に白蓮さんを守らせていただなんて。
おのれ神子、自ら最大のライバルだからと厳重に封じておいたんだな。
にとり「どうする? 戦うのかい?」
貴方「いや、やめた方がいい。バイオレントルーラーは一騎当千を突き詰めた巨大戦艦。一度暴れ出したら周囲を焦土にするまで敵も味方も構わずに破壊し尽すという。『暴君』というあだ名があるくらいだからな。仮に俺達が勝てたとしても白蓮さんに被害が及ぶ可能性が高い」
それにこいつを倒したところでやっぱり白蓮さんの封印の解き方なんて分からない。ここは逃げよう。二人に合図を送ると俺は銀翼をぐるりとターンさせる。
にとり「なら仕方がないね。だけど場所を覚えておくだけでもかなり優位に働くと思う。○○、アールバイパーにここの座標軸を登録するんだ」
悔しいが、俺は固く目を閉じた白蓮さんを置いて洞穴から出ることにした。取り戻すんだ、日常を、栄誉を、そして白蓮さんを……。
神子達がベルサーと通じているという事、そして白蓮さんの居場所が分かっただけでも大収穫だ。周囲の壁に何度も衝突しながら追いかけてくるバイオレントルーラーを無視して俺達は洞穴から脱出した。
その後は知性を持つ妖怪との遭遇もないまま進んでいくことが出来た。そして遠くに黄色い何かが密集しているのが確認できた頃には空が白みかけてきた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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