日が昇って久しい。ここ霧の湖は何故か昼になると濃霧が発生しやすくなる。どうにか太陽が高く昇る前に抜け出したいところではあるが……。
貴方「やっぱり妖精たちの抵抗が強いな。このっ、そこをどけっ!」
雛「興奮状態にあるわね。ここの妖精達もバイオレントバイパーに何かされたのかしら?」
どうにか群がる妖精を退けるも、周囲に霧が立ち込めてくる。遠くが見えなくなってしまう。
にとり「○○、あまり離れない方がいい。はぐれたら厄介だぞ」
自分も魔力レーダーに目をやるが、残念ながら正しい道は示されない。これはあくまで魔力の大きさを測るもの。だが、異様に大きい魔力の接近を察知していた。なんだコレは? 妖精にしては随分と大きいぞ。
緑髪の妖精「……」
なるほど、ここらの妖精の親玉ってところだな。言うなれば「大妖精」ってところか。
大妖精「リリーちゃん、よくもリリーちゃんを……」
ぐっ、恐れていたことが起きたぞ。恐らくはバイド化していたリリーホワイトの友達か何かだろう。明らかに憎しみを原動力に動いている。
貴方「ああする他なかった。あの子はバイド化していたんだ。放っておいたらさらに被害が……」
大妖精「リリーちゃんの仇!」
ちっ、聞く耳なしか。ボス格とはいえ相手は妖精。見たところチルノよりも力が劣るようだし少し脅かせば戦意を喪失して立ち去るだろう。
貴方「そいやっ、レイディアントソード!」
あちらに何かをさせる前に急接近し、剣の間合いに入る。そして一閃。しかしすぐに消えてしまう。が、俺はうろたえない。
貴方「逃げ方までリリーホワイトと一緒か。残念だな、アールバイパーは魔力の流れに敏感なんだ」
冷静に魔力レーダーに目をやる。姿を隠していても再び姿を現す前に大きな魔力の流れが周囲に発生する。つまり出てくるタイミングを見計らい再び剣を振るった。わざと狙いを少しずらして。
ブワっと舞い上がるは大妖精の髪の毛。わずか数ミリをブンと大妖精の耳元で唸りをあげたレイディアントソードが斬りつけたのだ。喉元に剣先を当ててさらに威嚇する。
貴方「貴様の負けだ、命が惜しければここは退け。でないと、この剣は次に喉を貫くことになる」
これだけビビらせておけば尻尾を巻いて逃げるだろう。だが、大妖精はピクリとも動かない。さらに威嚇が必要と判断した俺は反対側の耳元狙い、再び剣を振るった。もちろん大妖精本体には当てない。
大妖精「リリーチャンリリーチャンリリーチャチャチャチャチャ……」
が、次の瞬間、大妖精は白目をむいたかと思うと壊れたレコードのように友人の名前を淡々と口にしながら、そのまま湖へ落ちていった。恐怖のあまり気絶してしまったのだろうか?
にとり「いや、まだ何かいるぞ!」
その声につられて再び前を見る。ああっ、濃霧をよく見ると何か別の影が浮かんでいるのが見えるぞ。
団子状の2本の太い触手はシルエットだけでも特徴的だ。こいつ、まさか……!
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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