???「豊聡耳様、その為のわたくしではなくて?」
神子「その声は、青娥か。貴女も戻っていたのですね」

大きく二つの輪っかのようにまとめた特徴的な髪形、その根元には一本の大きなかんざし。全体的に薄青色の服装に身を包んだ女性は羽衣らしきものを羽織っており、仙人にも天女にも見えた。しかし彼女こそ邪仙と呼ばれるあの「霍青娥」である。

そんな不吉なあだ名など似合わぬ程に彼女はニコニコと屈託のない笑顔を浮かべて神子の顔をのぞき込んでいた。

青娥「使い魔だなんて、違いますわ豊聡耳様。あれは超時空戦闘機『アールバイパー』。乗り物なの」
神子「そのええっと、『あーるばいぱー』だったかな? その偽物は青娥が用意してくれたんだったね」

低空を浮遊しながらクスクスと笑うのは青娥。

青娥「よくできているでしょう? わたくし、頑張っちゃいましたから♪ 豊聡耳様も欲しいならもう1機作りますよ?」
神子「い、いやいらないよ。空を飛べて弾幕が撃てるようになる乗り物だろう? 私には必要のないものだ」

こうもアッサリと否定されてしまうとしょげかえる邪仙。

青娥「え~。アールバイパー、結構カッコイイと思うのですが……。とにかく、本物がこの偽物の存在に気が付いたようです。あとはこちらの偽物がさらに信頼を集めたうえで本物を屠れば……。ふふっ、こっちが本物ですわ♪」

アツく語る青娥にタジタジになる神子。

神子「そ、そうだな。では引き続き偽銀翼の作戦は青娥に任せましょう」
青娥「はーい。こっち関連は全部わたくしに任せてくれてよいのですわ。豊聡耳様は幻想郷の民衆を導くという立派なお仕事があるのですからクリーンでなくてはなりません。こういった汚れたお仕事は全部わたくしにお任せくださいな♪ では私は今から豊聡耳様が封じた悪い魔女の様子を見てきますので」

何処か後ろ髪をひかれがちな神子を尻目にランランと鼻歌を口ずさみながら青娥は去っていった。

一人、ポツンと取り残された神子はまた空を見上げる。陽は既に落ちて星空が瞬きつつある。

神子「本当にこれで、いいのでしょうか……? 確かに我々の教えを幻想郷に広めたいという欲望はあるし、信仰の力に応じて力も増してきた気がする。しかし、こんなやり方で本当に……?」

答えるものはどこにもいない。弱弱しい星の光が微かに神子を照らすのみであった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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