恐らくはβビームの餌食にならずにすんだのだろう。随分と素早く接近するのは文であった。
文「○○さん、ちょいとばかりオイタが過ぎるんじゃあないですか? 命蓮寺、人里、紅魔館、永遠亭の次は私達と。大方気に食わない記事を書くってことで潰したかったのでしょうが、こうまでされては天狗のメンツにかかわ……」
貴方「お前とやり合っている時間はない! さっさと守矢神社に向かわせてくれ!」
こんな状況だというのにどこか飄々とする文。ベラベラと騒ぎ立てるので俺は一喝して先へ進もうとする。もちろん文はそれを許すはずもない。その機動力に物を言わせて反対側へとすぐに回り込んでしまうのだ。
文「なるほど、次の標的は守矢神社……と。もっとも次の新聞の題目は『悪の銀翼、鴉天狗に敗れ墜落す』といったところ……」
貴方「そんなことしている場合かっ! お前の同胞達が空も飛べない程に衰弱しているのが見えないのかっ!? 俺もそうだ、ここを襲った憎きアンチクショウをぶっ潰さないといけない」
思うにコイツも真実から目を逸らそうとしている。天狗の社会については俺にもよく分からないが、ああいった認識であると思わないといけないのかもしれない。現に地面で横たわる多くの鴉天狗や白狼天狗にチラチラと視線が行っているのが分かる。動揺しているのは明白だ。
貴方「思うに物理的ダメージ以上に、急に魔力を失ったことによるショック状態の方が深刻だ。俺は薬に詳しくないからそれ以上のアドバイスは出来ないが何か魔力の補充手段を知っているんじゃないか?」
呆然とする文をスルーして先に進もうとするが……
文「ま、まあ確かにアテはありますが、しかしまたも縄張りを突破されたとあっては私にも天狗社会での立場がありまして……」
貴方「その天狗がみんなくたばったら社会もクソもない。俺は天狗の社会どころか幻想郷の危機になりかねない脅威を叩きに行く。文は衰弱した自分の同胞を救う。
目の前の脅威が大きすぎるなら、皆で協力して退ける。聖様ならそう言う筈だ。どんな簡単なことでもいい、自分に出来ることを自分がやれるだけやる」
完全に文を通り越して、捨てるように最後にこう付け加えた。
貴方「一つ一つの力は小さくても、たくさん集まればその力だってバカに出来るものじゃあない。
念写の出来るはたては真実を新聞を通じて伝えようとした、たくさんの空飛ぶ首を持つ赤蛮奇は周囲の怪しい者に目を光らせた、心優しい厄神様は傷ついた俺の心に安らぎを与え更に厄を払った。
さあ、足が速く風を操る程度の能力を持つお前は何をする?」
完全に動く気配のない分を尻目に俺は天狗のテリトリーを突き抜けていった。
文「ま、待ちなさいっ……! 行っちゃった……。わ、私は何をするべき……か。私は……」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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