(その頃人里では……)

周囲の偵察に向かっていた布都であったが、その最中にとんでもないものを見てしまい、慌てて人里の神子の元へすっ飛んで行くのであった。

陰鬱な靄のかかる人里。だが、湿っぽさのかけらもない程に思い切り扉が開かれると、随分と小柄な少女……まあ布都なのだが、彼女が両手をバタつかせながら何かを伝えている。

神子「なんだって、本物のアールバイパーが無縁塚で偽物と交戦中!?」
布都「しかも守矢神社の巫女まで一緒に。もしやあの偽物が守矢神社で破壊活動を行ったのでは?」

バイオレントバイパーの守矢神社襲撃は神子の想定を逸脱するものであった。まずは命蓮寺を完全に無力化したうえでゆくゆくは神道をも制する計画ではあったものの、そのための襲撃にしてはあまりに早すぎる。ガタガタと震えるは神子。

神子「ああ、なんということだ! さすがに2つの勢力を一気に相手するなんて無謀すぎる!」
???「大丈夫。安心してくださいな、豊郷耳サマ♪」

相変わらず屈託のない笑顔を浮かべながら、ふわりと神子の右肩に両肘をちょこんと置いて寄り掛かるのは青娥。

青娥「私の用意した銀翼が負ける筈ありませんわ。豊郷耳様はそこで人々を導く存在であり続ければいいのです。むしろ我ら道教に物申せる宗教はもはや存在しえない、そのことを証明する良いチャンスになりますもの。うふふふ……♪」

困惑しながらももはや自分の手を離れて大きくなりゆく事態には神子もただただ見ているほかないのであった。

ふわふわと青娥が飛び去る。神子の迷いが晴れたことを象徴するかのように、周囲にかかっていた靄も取れ、晴れ晴れとした青空をマントをたなびかせながら見上げる。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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