もはや絶望しか残っていない。手詰まりだ。ありとあらゆる手段を尽くしてもネメシスはもはやこちらに笑顔を向けてくることはない。
貴方「うっ、うあぁ……神様ぁ……」
お寺に居候している身でありながら仏様ではなく神頼み。すがるように嘆いていると神様を名乗る別の存在が答える。
雛「無理言わないでよ……。そんな命を取り扱えるような全知全能の神様なんて存在しえないわ。仮に存在するとしたら今頃幻想郷そのものを統治しているわよ」
冷酷ながら的確な指摘をするのは雛であった。が、その発言に何かピクリと反応したのはアリス。
アリス「……あったわ、一つだけ方法が。どうして思いつかなかったのかしら」
俺の心に風穴を開けた虚無が真っ黒く立ち込める中、一筋の光が差し込んできた感覚。ガタリと起き上がると俺はアリスの両肩を掴む。
貴方「教えてくれ! ネメシスが戻ってくる手だてがあるのなら力を尽くそう! さあ、俺は何をすればいい!?」
恐らくは相当力が入っていたのだろう。痛そうにしながら俺の腕を払いのけるアリス。
アリス「お、落ち着きなさいって! 確かに私にはネメシスを修理できないわ。だけど、私の『ママ』ならもしかしたら……!」
ママだって? アリスの母親ってことか。アリスは優秀な人形遣いであると同時に、人形職人としても非常に腕が立つ。この俺が断言しよう。そんなアリスの母親ならきっと更に高度な技術を持っているに違いない。だからこそアリスは自らの母親に希望を見出したのだ。
貴方「行こう、アリスの『ママ』とやらのいる場所へ! どこにいるんだ? 俺はどこへだって行くからな!」
アリス「だから落ち着きなさいってば。というかそんなに強く腕を掴まれたら痛いわよ。私のママは『魔界』に住んでいるわ」
魔界だって? 魔界といえば白蓮さんがかつて封印されていたところじゃないか。そして星達が封印されていた白蓮さんを最初に目覚めさせたときに聖輦船を用いていたらしいことを俺は知っている。
貴方「人里だ。ムラサ達は人里にいるはずだ。聖輦船で魔界まで連れて行ってもらおう」
アリスの家を飛び出し、魔法の森を上昇すると東の空がわずかに白んでいるのが見える。俺達の旅立ちを祝福するかのように。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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