太陽もすっかり姿を現した頃、俺は人里を抜けて博麗神社へと到達した。やる気なさげに境内を掃き掃除をしていた巫女はアールバイパーの姿を見るや否や急に浮遊してゆく手を阻む。どう見ても気だるそうである。
霊夢「こんな場所まで何か用?」
貴方「単刀直入に聞こう。博麗神社の傍に魔界に通じる門があるそうじゃないか。俺は魔界に行きたい」
その瞬間、やる気のなさそうだった表情が引き締まる。
霊夢「それは駄目。紫にきつく言われているの。『解析不能の超技術であるアールバイパーとそれを操れる○○を幻想郷から出してはいけない』と」
しまった、俺は紫の監視の元で生かされているんだった。その魔界とやらは幻想郷の外側なのかもしれない。
霊夢「大体人間である貴方が魔界なんかに何の用事?」
貴方「そ、それは……。アリスの里帰りに付き添うんだ」
ネメシスのことは伏せておこう。じーっと見透かされる人間二人に魔法使いと神様と河童一人ずつ。
霊夢「なーんか怪しいわね。そんなに大所帯で?」
雛「(本当のことを話したほうがいいわ。彼女の直感力はサトリ妖怪レベルよ)」
仕方がない、ただでさえあらぬ疑いをかけられそうなのだ。本当のことを話すことにした。
貴方「本当は散っていった戦友を蘇らせるためだ。魔界にはネメシスを修理できる優秀な人形職人がいるらしい」
俺は地上で留守番をして……という手も使えない。ネメシスの復活には俺の新鮮な髪の毛が必須である。それに魔界という場所は俺にとっても魅力的な場所である。かつて白蓮さんが封印されてきた場所、今の状況を打破するヒントが魔界にはあるかもしれない。そう感じたのだ。
それを聞いて呆気にとられる霊夢。俺に、次はアリスに、最後にネメシスに目をやると、あろうことかプッと吹き出したではないか!
霊夢「あっはははは……! だって男の子がお人形さん片手に涙目になりながら『俺の友達』だって……お、おかしくって笑いが……」
俺はこんなにも真剣だというのに、この不良巫女は……。俺以外にも雛が眉をひそめているのが見えた。
貴方「ネメシスはただの人形じゃない! 幾多もの戦場で生死に共にした立派なパートナーだ!」
が、反応は素っ気ない。彼女にとっては心底どうでもいいことらしい。これでは怒る気も失せる。
霊夢「ふーん、そうなのね。でも、貴方を魔界に向かわせるわけにはいかない。そうね、ないと思うけれどこの私を倒したらここを通してあげるわ。もしもその気ならお仲間さんもご一緒にどうぞ?」
どこまでも余裕そうな口ぶりをしやがって。そうやって「我関せず」を貫くと見せかけて俺の妨害だけはしっかりやってのける。
貴方「舐めやがって! 早苗、雛、にとり、んでもってアリスっ、やってやろうぜ! 5人がかりなら流石に倒せるはずだ。あのしたり顔を恐怖一色に染めてやる!」
うおぉぉ! 俺は霊夢と一戦交える……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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