次に目が覚めるとそこはベッドの上であった。もうせき込むことはない。ゆっくりと体を起こし周りを見渡す。

無数の生首が棚に整列しており気味が悪い。
よく見るとそれは作りかけの人形の頭部であることが分かる。

上海「(ペコリ)」

そしてどういうわけか勝手に動く人形がふよふよと飛んできて飲み物を手渡す。俺はそれを受け取るが、得体のしれない液体にいきなり口をつける勇気はなかった。

アリス「瘴気にあてられた人用の薬よ。私も昔はお世話になったわね」

金髪蒼眼の少女が飲み物の説明をしていた。
それを聞き、液体に口をつけた。苦い……が、体は幾分楽になった。
どうやら森で迷って気を失っていたところをアリスに助けられたらしい。となるとここはアリスの家だろうか。
随分とラッキーである。色々あったが目的の場所に辿り着けたのだから。

アリス「貴方は確か白蓮さんと一緒にいた人間ね。ええと、○○だっけ?
魔法の森は瘴気に溢れていて普通の人間には……いえ、そこら辺の妖怪にとっても対策なしでは長くいられる場所じゃないの。
さあ、今日はもう遅いからここで朝が来るのを待った方が……」

待て待て、それでは命懸けでここに向かった意味がない。俺は慌てて用件を口にした。

貴方「無理を承知で頼みたいことがあり、ここに来たんです。人形を、動く人形をください」

アリス「はい?」

キョトンとした目でこちらを見る。その表情からは明らかに渡すつもりなど毛頭ないことが伺える。

貴方「ええと……俺の、俺専用の動く人形が欲しいんです! 渡すのが無理なら作ってもらえると……」

アリス「無理よ。あれは私の能力で操っているだけに過ぎないわ。確かにこの子みたいに自分で動ける子もいるけれど、長い間は動けないし、その度に命令をし直さないといけないの。それに……。これは『私の』能力。他の人にはそうそう教えたくないの」

やはり角が立ってしまったか。言われた方からすれば、苦労して得た能力を何の対価もなしに「くれ」と言われているようなものなので、気を悪くするのも当然だろう。

だが、俺には猶予がない。土下座してでも何かを得て見せる!

貴方「猶予がないんです。とある大妖怪につけ狙われていて、その妖怪に弾幕ごっこで勝てないと俺には明日がないんですよ! この通り、この通りだから人助けだと思って……」

アリス「その妖怪ってのはまさか紫のこと? あの新聞の記事、本当だったのね……。どんだけ命知らずなのよ」

額に手を当てて空を仰ぐアリス。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら