事情があるとはいえ、今の俺は招かれざる侵入者。
メイド服姿の妖精(……だと思う。昆虫みたいな羽生えてるし)に襲われる。それを一気に青白いレーザーでなぎ払い、進路を切り開く。
なんだ、吸血鬼の館というから中には怪物や悪魔がウヨウヨいると思ったが、いるのは妖精のメイドくらいである。俺はしばし安堵の息を漏らした。
しばらく薄暗い廊下を突き進むと、特徴的な箒に跨った魔女……いや魔理沙の姿が見えた。
貴方「ようやく追いついた……。なあ、俺の人形だけでも返してくれよ。そいつは貴重な戦力なんだ。……まだ戦力候補の段階だけど」
魔理沙「まだ言うか。本をちゃんと借りられてからだってあれほど言っただろう。本来なら死ぬまで借りるってってところを、相手が人間だからとこっちもこれだけ譲歩しているんだ。それ以上は一歩も譲らないぜ」
変な所でしっかりしている子である。やれやれ、隙を見てネメシス人形だけでもかすめ取ってやろうか……。
???「動くな」
魔理沙の声ではない。別の声が上方向から聞こえる。とても冷たい声だ。
その刹那、銀色の光がこちらを掠めるように降り注いだ。
魔理沙「げげげ、その声はまさか……」
こちらの動きが止まったことを確認したのか、声の主がふわりと降りてきた。背の高めの少女である。
ヘッドドレスにエプロン姿。服装からすると彼女も紅魔館のメイドなのだろう。だが、今まで相手にしてきた妖精メイドとはその風格がまるで違っていた。
指の間にはナイフが挟まれており、先程投げつけられたものもナイフであったことが伺える。
もしそうだとしたら、相当のスピードで投げつけられていることが分かる。何せ最初に見た時は銀色のレーザーに見えたくらいなのだから。
そして目の前のメイドは今もそのナイフをギラつかせてこちらを威嚇している。
???「また本泥棒ですか……。そしてそちらの奇妙な物体は……」
魔理沙「逃げるぞ、○○! いくら私が速いからってこいつには、このメイド長こと『十六夜咲夜』には敵わないんだ」
クルリと向きを変えてトンズラを決め込もうとする魔理沙。
だがその直後、周囲から色が失われていく。
揺らめく照明の色が失われ、そしてその動きを止めた。
逃げようとする魔理沙の箒、服、そして顔の色が失われ、焦りに歪めた顔のまま、動きを止めてしまった。
一体何をしたんだ、あのメイドは……!
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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