話せばわかる……って言える雰囲気ではない。
咲夜の切り札たる時間止めは封じたものの、まるでレーザー光線のようなナイフ投げの脅威が残っている。回避するので精一杯である。
貴方「くぅっ……。こちらもレーザー発射!」
放たれた青白いレーザーは咲夜めがけて一直線に伸びて……そして目の前で軌道をずらしてしまった。
まずい、防戦一方で咲夜から離れて行くからレーザーも俺自身の動きに影響されて当てることが出来ないのだろう。
そうだ、何も戦う必要はない。幸いアールバイパーは魔理沙並みにスピードが出せる上にメイド長の能力も受け付けない。逃げようと思えば逃げられるのだ。もちろんただ逃げるわけではなく、スモールスプレッドで退避しながらの妨害を組み込む。
通路を抜けて広間に出る。ええと出口は……
咲夜「私の能力も見くびって貰っては困るわ」
信じられない速度で咲夜が迫る。これだけ飛行して振り切ったと思ったのに、アールバイパーが追いつかれるとは……。
そういえばこちらに時止めが通用しないと分かっていながらあえて術を解いたりはしなかった。
しまった、弾幕勝負に慣れている魔理沙と、ほとんど素人の俺を引き離すのが目的だったんだ!
咲夜「今更気がついても遅いわよ。時間操作は時を止めるだけではない。ふふ、これが正真正銘のタネなし手品……」
スペルカードを手にしている。どう仕掛けてくる……。まるで予想がつかない。
咲夜「奇術『ミスディレクション』!」
一瞬そう叫んだかと思うと何の変哲もない花火弾幕を浴びせる。スカスカの隙間だらけで回避は容易……。身構えていた俺は思わぬ肩すかしに気合が空回りする。
貴方「!?」
いや、なんだこれは……? 先程目の前で弾幕を放っていた咲夜は真後ろにいるではないか。背後を取られた。こちらは狙い撃つかのような素早い攻撃……!
咲夜「『貴方』に能力が効かないなら、私自身の時を加速させるだけよ」
何という事だ。切り札を潰し圧倒的優位になっていながらもあっさり敗れてしまうとは……。
バイパーが地面に叩きつけられる感覚がしたような気がしたが、駄目だ、気が遠くなる……。
これでは……、脱出……できな……
咲夜「あっけないものね。そこの妖精メイド、この不埒な侵入者を引きずり出して捕らえなさい。お嬢様の館を荒らした罪、その身で償わせる……」
銀翼と妖怪寺VIIIに続く
あとがき
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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