とはいえ……。アールバイパーがあるならともかく生身の状態で紅魔館に投げ出されてもそれはそれで危険なわけで……。

キィキィと甲高い声で妖精メイドが群がってくる。
中には槍や剣を装備している者もおり、まともにぶつかっていては命を捨てるようなものであることは容易に想像が出来る。

俺の手には先程俺自身を拘束していた縄と、苦労の結晶「ネメシス人形」がある。さて、どうしたものか……。

うわっ、弾幕撃ってきた。容赦がない。と、壁を見ると装飾用なのだろうか、盾が飾られている。
ちょっとこれを拝借……と。盾をむしり取ると、ネメシスに持たせた。

貴方「守れ!」

ダメ元で命じてみる。するとネメシスは盾を構えて弾幕を必死に防いでくれた。

貴方「そのまま後ずさり!」

ガードしながら距離を取ってやり過ごそうという魂胆だ。しかし、ネメシスはその場から動こうとしない。

貴方「何をしている? こっちに来い!」

少し語気を強める。言葉が通じたのか、ネメシスはくるりと向きを変えてふよふよと飛んで行こうとする。だが、あろうことか盾を捨ててしまった。

貴方「ちょ、ストップ! やっぱり守れ!」

慌てて命じ直すと再び盾を構えてくれた。何故かこちらに向かって。俺はネメシスを抱きかかえると真逆の方向に向かせた。
どうやら複数の命令は聞けないようである。とくに移動系の命令と併用できないのは致命的だ。

ん、待てよ……。

アリスは完全な自律人形は出来ないから糸で操っているとか言っていた。

そして俺の手には縄が握られている。そうか、移動は手動で行い、行動だけを命じてネメシスに行わせる。

アリスみたいに大量の糸を一度に操ることは無理でも、1本位なら自分にも出来るのではないだろうか……。

それはまるで親の後をしっかりと着いて行き、親と同じように行動するカルガモのような。……具体的に言えば、バイパーをトレースして、自機と同じ攻撃を繰り出すオプションのような……。

実際にネメシスの腰のあたりをロープで縛り、こちらで引っ張ってみると……、おお! 思った通りだ。

貴方「攻撃がやんだ。ネメシス、戻れ!」

肩を差し出し、ネメシスにここに乗っかるようにと命じる。同時にロープをクイっと軽く引っ張りこちらに向かう事を促す。よし、上手くいった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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