勝ち誇る俺にいまだに地べたでペターンと座り込む紫。まさかの大番狂わせにギャラリーが物凄く沸いている。
貴方「ああ、俺の勝ちだからな。俺の願いをかなえてもらうぞ」
その願い、幻想郷で生きたいという旨を口にするその前に……
紫「あーん、ゆかりん男の人に退治されちゃったー。ゆかりんこの人にこれからナニされちゃうのかしらーん」
何もしねぇよ! 思わずツッコミを入れる。こちらになだれかかって色っぽくて、それはそれで煽情的だが、俺の願いはそっちじゃない。あとあれだけダメージを受けていた筈なのに怪我らしい怪我はまるでしていない。
そう、あんなこと口で言っているが、紫はまるで負けたようには見えない。勝利した俺の方がむしろボロボロなのだから。
貴方「もう俺の命を狙わないで欲しい。俺はこの幻想郷で生きていきたいんだ。相棒たる銀翼『アールバイパー』と、そして命の恩人である聖白蓮と生きていきたい! いや、生きる!!」
言い放ってやった。俺はこの一言を紫に伝え、叶えるためにこの日まで頑張って来たのだ。
渾身の色仕掛けをスルーしたからか、紫はむくれながらもスックと立ちあがり、こちらの話に耳を傾ける。
紫「そうね。貴方にはもう『心に決めた人』がいるものね。くすくす……。
いいわ。もう貴方を狙ったりはしない。スペルカードによる決闘が広まった後も残る『妖怪は人を襲うもので人は妖怪を退治するもの』という幻想郷の摂理。私に狙われて、そしてその私を自らの手で退治しようとした貴方にはそれを理解できる筈。だから幻想郷の何処にいたって生きていけるわよ、貴方はね」
こちらをからかったり、柔らかな表情を浮かべたりと素の彼女は結構表情豊かなのかもしれない。
決闘中のあの不気味な頬笑みは見せていない。
紫「でもね、これだけは約束して。その『アールバイパー』を悪用する事はしないで。正直あの銀翼の能力はブラックボックスだらけだわ」
貴方「悪用するものか。アールバイパーは最後の希望を繋ぐ翼なんだ。何かを守る時にしか使わない!」
ニコリとほほ笑むと、紫は目いっぱいこちらに接近する。先程もこれだけ近づいていたけれど、殺気がまるでないと、この大妖怪もなかなかの美人であることがわかり、思わずドキリとする。
紫「あの子を……聖白蓮を泣かせるようなこと、しちゃダメよ?」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で俺の耳元で囁くスキマ妖怪。
聞き返そうとした矢先、紫は再びスキマの中に潜り込んでしまった。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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