今にも一雨来そうな鈍色の空。晩秋の肌寒さに身を震わせながらも、私は次のゲームセンターへと足を運んだ。
恐らくは個人経営なのだろうか? とにかく薄汚れており寂れた内装であった。
照明はチラついたゲームの画面だけで薄暗く、外はあれだけ寒かったのに機械が発する熱気でこの中は非常にムンムンとしていた。
紫「ここなら該当するゲーム機がたくさんありそうね」
めぼしい筐体をスキマに送り込んでいく。相変わらず客足はなく、こんな調子で経営は大丈夫なのだろうかと他人事ながら心配になるくらいであった。
そうしていると、奥にひときわ大きな筺体が見える。これもシューティングゲームなのだろうか?
紫「『アールアサルト』……?」
変わった形をしているがこれも恐らくシューティングゲームだ。近づいてスキマ送りにしようとしたが私は途中で歩みを止めた。
紫「客がいるっ……!?」
なんということだ、あの巨大な筐体に男性が一人座り込んでゲームをプレイし始めたではないか。あれでは幻想入りさせることが出来ない。忘れ去られていないし、そもそもあのまま幻想入りさせたら関係のない人を巻き込んでしまう。
訳を話してどいてもらう? いやいや、事情を話したところで信じて貰える筈ないしさすがにこちらの素性がバレるのはまずい。
仕方がない、プレイが終わるまで待つとしよう。
……
…………
……………………
ちょっと、もう一度プレイするってどういうことよ! 連コインはマナー違反じゃないの……と言いたいけれど、他にプレイする人もいないから問題ないのか。
ヤキモキしながら待っているうちに、この大きな筐体がわずかに光を帯び始めた。まさかっ……!
紫「敵は人がいようとお構いなしってことね」
あの黄金の八面体がプレイしている人間ごと幻想郷に連れ出すつもりだ。仕方がない、こうなれば強硬手段。私もスキマを開いて大型筐体を飲み込もうと試みた。
……
…………
……………………
結局どうなったのかは分からなかった。割り込んだ私が幻想入りさせたのか、それとも奴が兵器に変えてしまったのか……。
私は博麗大結界をすり抜けて幻想郷に向かうであろう「石のような物体」を追いかけることにした。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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