外来人の足取りは思っていたよりも簡単に掴むことが出来た。どうやら巨大な蜂型の兵器との戦いで流れ弾を受けていたらしく、幻想郷の森に墜落してしまったらしいのだ。

墜落した銀翼、そこから発せられる熱気と黒煙。周囲の破損した木々の断面から落ちてきたのがつい先程であることが分かる。つまりこの近くに外来人もいる。私はそいつを捕まえる必要があった。

そしてその後の処遇は……恐らく処刑だろう。本来なら外の世界に返してやりたいところだが、彼はあまりにイレギュラーな方法で幻想入りしてしまった。

「石のような物体」の力で幻想入りした兵器は例外なく幻想郷を攻撃し始めた。もしもあの外来人にも同じような精神作用が働いていた場合、残念ではあるが脅威の芽になり得る存在ということになってしまう。ゆえにあらかじめ摘み取っておく他ない。

今は壊れた銀翼も、もし修理でも始めようものなら一気に脅威度は上昇するし、そのような選択を取る可能性は高いだろう。

仮にあの男が幻想郷に悪意を抱いていなくても、彼にとって此処は危険な妖怪が闊歩する異世界だ。身を守る手段を欲するようになるのは至極真っ当な思考であるのだから。

しかし力を欲するのは護身の為か、それとも攻撃の為か、それを見極める手段は私にはない。外の世界の法律では「疑わしきは罰せず」らしいが、ここは外の世界の法律など意味をなさない幻想郷。

私の愛する楽園の脅威になるかもしれない外来人をあまり生かしておきたくはなかったのだ。

ゆえに、殺すのなら今しかない。右も左もわからずオロオロしている外来人の前に私は姿を見せた。

紫「ごきげんよう……招かれざる客人がこの『幻想郷』に何の用かしら?」

どうせならたっぷりと恐怖させてから美味しくいただく。妖怪の楽園、幻想郷らしい終わり方ではなくて?



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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