聖輦船はゆっくりと目的の里へと向かう。ぱっと見はゆっくり飛んでいるように見えるが、なにしろこの巨体である。実際はかなりの速度で進んでおり、気づいたらもう人里の上空にまでたどり着いていた。
ゆっくりと高度を下げていく。人里は恐ろしいほど静かだ。皆迫りくる妖怪に怯え建物の中で震えているのか、それとも……
星「おかしいですね……。人の気配も妖怪の気配すらしない……」
白蓮「どこかで待ち伏せしているのでしょうか……? それにしても静かすぎるわ……」
聖輦船が更に降りていく。恐る恐る外の様子を見てみたが、妙な静けさ以外に怪しいものなどなかった。
突然聖輦船に衝撃が走った。何かにぶつかる音、大きく傾く船体。
ムラサ「いけない! 舵がきかないよ!」
もう一度外を見る。そして驚愕した。何しろ聖輦船が桃色の光るクモの糸のようなもので絡まっているのだから。そのまま聖輦船はズシンと地に落ちる。乗組員たちは慌てて外への脱出を余儀なくされる。俺達もどこに妖怪が潜むかも分からぬ人っ子ひとりいない人里へ投げ出された。
白蓮「どうしてこんな所に罠が……?」
誰もいなかったもぬけの殻の人里であったが、不意に誰かが近づいてくる。俺達が1000年前に飛ばされた時に絡まれた退魔師たちだ!
刀使いの男A「遅かったじゃないですか尼公様」
この前の時よりも仲間を多く引きつれており、人里の至る所からわらわらと出てくる。
白蓮「それで……この里に踏み込んでくるっていう妖怪の大群ってのは……?」
こんな時ですら、白蓮は自らの使命のことで頭がいっぱいのようである。
刀使いの男B「アッハハハハ……。これは傑作だ! まだ分からないのか、このお人好しめ!」
流石におかしいと気付いたのか、白蓮の顔が曇る。
札使いの男A「それはお前らだよッ! 表では人間を助けようと尽力し、実は裏で妖怪と通じている尼公の皮を被った魔女めっ!」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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