今まで白蓮のお手伝いをしてきたことは本来の史実に沿った行動だったのでお咎めなしであったが、今回はそうはいかないようだ。
にとり「『聖白蓮は妖怪をも救っていたことが人間達に知られて、人間の手によって封印されてしまう』。この歴史を変えることは許されないんだ。この史実を変えてしまうとどんな影響を与えるか分からないし」
そうか、そうだった。俺達はまさにその歴史のターニングポイントたる場所まで飛ばされているのであった。
白蓮はここで人間に捕らえられ、目も背けたくなるような迫害を加えられた挙句、魔界の奥底へ封印されてしまうのだろう。封印が解かれる頃は幻想郷が形作られて千年以上後の時代……。
理屈では分かっている、分かっている筈だった。だが、どうだろうか? こうやって自分の好きな人が目の前で虐げられる様を黙って見ていられるか? 1000年前の一輪やムラサが大群相手にこんなに体を張っているのに、見ているだけだなんて我慢できるだろうか?
俺の手には何度も侵略者を退けてきた最後の希望(ゲームの中でだけど)、俺の窮地すらも救ったことのある超時空戦闘機、銀の翼を持った「アールバイパー」があるというのに!
果敢に挑む二人の妖怪は哀れ、物量に押されて膝をついておりもはや屈するのは時間の問題だろう。この二人も聖輦船も何もかも封印されて地中深くへと消えていく……。
ぬえ「ちょっと待って、確か聖以外も船や仲間の妖怪も一緒に封印されたのでしょう? これって私達も封印される妖怪としてカウントされているんじゃ……」
にとり「あ……」
「あ……」じゃねーよ! タイムパラドックス云々に拘り過ぎて自身の身に危険が迫っていることをすっかり忘れていたようだ。とたんに焦りの色を見せ始め慌てふためく。
にとり「どどど……どーしよー!」
屈してしまった一輪とムラサに刀使いの男が詰め寄る。
刀使いの男A「手こずらせやがって……。まずはお前らから始末してやる。覚悟しろ!」
ギラリとその刀身が振りあげられる。日光に反射して怪しく輝いていた。封印……違う! あれは殺すつもりだ!
鮮血が飛び散るよりも先に、俺達が目を覆うよりも先に、動いた一人の少女がいた。
皆に庇われるように後ろにいた聖白蓮が、凄まじい勢いで前に出るとこの二人を阻んだ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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