ぬえ「ねぇ、○○。○○ってば……」
俺も少しは力になろうとアールバイパーの置かれた部屋へ向かおうとしたが、小声でこちらの袖を引くぬえに止められた。ヒソヒソ声で口に手を当てて、耳打ちするように続ける。
ぬえ「さっきの人、ちょっと怪しくない? どうして危険が迫っている筈の人里へわざわざ帰ったのかしら?」
そういえば……。助けだけ求めて彼は立ち去ってしまった。この寺院とて人里からは少し離れている。わざわざ道中で妖怪に襲われるリスクを抱えてまで人里に戻るのは確かにおかしい。大体じきに妖怪がやって来るというのを知った上で彼は戻っているのだ。
空飛ぶ船に変形することを知っていた彼ならば、ここで匿って貰うことで人里へ帰ることを思い付くことも出来た筈だ。でも、彼はその選択を選ばなかった。
にとり「確かに臭うね……。一応聖に話してみようか?」
目を輝かせた白蓮に俺達は話しかける。
貴方「かくかくしかじかで……」
ぬえ「もしかしたらさっきの人、嘘をついているんじゃ……」
白蓮「何を言っているんです! あの人はきっと家で待つ家族の元に向かったのでしょう。彼は彼で守るべきものを守る戦いがあるのです!
さあ、私達も手遅れになる前に行かなくてはなりません!」
頭ごなしに怒られた。彼女は聞く耳を持たない。
結局これ以上は反論できず、聖輦船は再び航行を始めたのであった……。
銀色の軌跡 後編へ続く
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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