落ちるまでの時間。非常に時がゆっくり流れていると感じられた。

そして無造作に脳内からあふれ出るビジョン……。

ああ、これが「走馬灯」という奴か。揺らめく炎が空間に陽炎を起こし、幻をあたかも実物のように見せている。

最後に「白蓮」と会話を交わした日のこと。今回の依頼が罠なんじゃないかといぶかしんだあの時……。アールバイパーという最後の希望を失ったその時、彼女が退魔師どもに連れられて散々迫害を受けた上に封印されるのは明白だ。

アールバイパーが時を駆けたこと。まさか落雷を受けることで「超時空」戦闘機として目覚めてしまうだなんて夢にも思わなかった。「宝塔」だってそんな能力持っていない。

俺が幻想入りしたあの日のこと……。まさか大妖怪「八雲紫」に目をつけられて命を狙われたというのに、俺は生還できた。そう、「あのとき」は。あれは「奇跡」としか言いようがないだろう。

炎が更に近づく。俺にそれを避ける術はない。敗者に待つ「運命」、それは死そのもの……。
陽炎が幻を投影しているのか、それとも俺がもうおかしくなってしまったのか……。俺の知る筈のない「幻」まで現れる……。

白蓮……。妖怪も人も救おうとした素敵な「僧侶」。
白蓮……。己の「寿命」を守る為に妖怪を救った魔法使い。
白蓮……。しわくちゃの白蓮。愛する弟「命蓮」を失って泣いている。
白蓮……。命蓮に法力を学ぶ。命蓮の「飛倉」は法力で空を飛ぶ。「飛鉢」を倉に閉じ込められてもその倉が飛んでしまう。

こんなにも彼女を想っているのに、結局俺は何もできなかった。友人二人を元の世界に帰すという使命も果たせぬままに……。

だが、炎は容赦なく俺を包む。

溶ける。体が溶ける。魂も溶けゆく……。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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