アールバイパーは二人乗りであるらしく、私も乗せてくれるとのこと。

阿求「あの……あんまり飛ばさないでね。体は丈夫ではない方だから」

心配する私を気遣ってか、手を差し伸べてくれる。そして後ろの座席にちょこんと座った。扉(キャノピーというらしい)が閉じると……狭苦しさと蒸し暑さをひしひしと感じる。乗り心地はお世辞にも良いとは言えない。

あまり周りのものを触らない方がいいだろう。万が一「自爆スイッチ」なんてあったらシャレにならない。いよいよ発進させるようだ。

グンと衝撃を受ける。急に加速したことで重力が後ろへと引っ張るような感覚。思わずうめき声をあげた私に気付いたのか、「慣れればどうってことはない。俺も最初はこんなだった」とフォローしてくれた。……あんまりフォローになってない。

だが、○○の言った通り最初ほどの衝撃は受けていない。ちょっと蒸し暑いのさえ我慢すれば見慣れぬ空の様子をへんてこなガラスごしとはいえこの目で見られるのだから。

○○「どうだ、空の景色は? しっかり目に焼きつけてくれよ?」

私を誰だと思っている。一度見たものは決して忘れない。これが空から見る幻想郷。大空を弾幕で彩る少女たちが見る光景……。

○○「さて、そろそろ戻……」

無事に帰還できると思った矢先、悲劇は起きた。

ビーコン「パラリラパラリラー!」
モリッツG「3B爆走連合じゃい! 道を開けろい!」
エンシェントドーザー「どけどけどけー! ノロマな奴らは踏みつぶしたるぞ!」

最近幻想入りしたならず者の妖怪集団が暴走行為をしていたのだ。二人で唖然としていると今度はけたたましいサイレンの音が響く。

R-11B(ピースメーカー)A「森辻め……、今日という今日はとっ捕まえてやる!」
R-11B(ピースメーカー)B「バクテリアンとベルサーまで味方につけやがって……」
R-11B(ピースメーカー)C「ちくしょう! やってやる、やってやるぞぉー!!」
R-11B(ピースメーカー)A「おいっ、一人で飛びだすな! 的にされるぞ!」

R-11B(ピースメーカー)C「うわぁぁっ!!」
R-11B(ピースメーカー)B「1体やられた! 応援を、応援を頼む!!」

今のはここ最近増えつつある新種の妖怪に呼応するかのように姿を現したR戦闘機たちである。どうやら押されている様子。わずかにアールバイパーの速度が上がった気がした。

○○「あいつら……。ちょっと一仕事だ。阿求、様子をしたためてくれ!」

言い終わる前に急加速を始める。危うく舌を噛んでしまうところであった。外に目をやると景色という景色が速度に溶け合いよく分からなくなっている。ただ一つ分かる事はとにかく速く動いている事。

無理です。こんなあっちこっちに揺れる乗り物の中で文字なんて書けません。
急加速急上昇、そして響く爆音。ああ、目が回る……


(そして……)

名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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