しばらく飛行し続けていると、大きな袋を手に魑魅魍魎どものうごめく地上すれすれを飛ぶ白蓮の姿が見えた。彼女はまるで光る粉が振りまかれているように煌びやかであった。

白蓮「皆さーん、ハッピーバレンタイン! 皆さんに幸せとチョコレートを!」

白蓮と一緒に早苗さんも横切り、人里の一角を陣取った。なるほど、チョコレートに飢えている魑魅魍魎どもにチョコレートをプレゼントするのか。

早苗「沢山あるから大丈夫ですよ? ちゃんと並んでね」

魑魅魍魎ども「キャーナムサーン!!」

化け物ども「早苗さーん♪」

ゾンビのようであった彼らは途端にキビキビした動きに変わり、仲良く列に並び始めた。今もゾロゾロと列が長くなっていく。

ううむ、なんとも白蓮らしい作戦だ。これなら人間を傷つけることなく元に戻せる。こんな美少女二人からチョコレートを貰えるのならば例え義理でも嬉しいものだ(俺も早苗さんから義理を貰って嬉しかったんだ)。確かにこの作戦は俺には絶対に出来ないものだし。

独り身の男A「うははー、俺もまだまだ捨てたモンじゃないなー!」

独り身の男B「何年振りだろうか、こうして菓子を女性から受け取ったのは……グス」

嫉妬心の呪縛から解き放たれて、魑魅魍魎どもは人の姿を取り戻す。これで向こう一年は嫉妬で暴走する事はないだろう。

だが、まだすべてが片付いたわけではない。

パルスィ「ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる……」

どす黒い憎悪の念に思わず身震いする。鬼のような形相で何故か俺が睨みつけられる。緑色の瞳が何処までもこちらを蹂躙する……。

パルスィ「取った……! 取った取った取った取った!! 私と志を同じくしていた人間を取った!」

ヒステリーを起こし、滅茶苦茶に弾幕を飛ばしてくる。俺へ、白蓮へ、かつて魑魅魍魎だった人間へ、憎悪の感情が弾幕となって放たれる。

ま、待て! 白蓮も早苗さんもこちらに手がつけられないし俺が一人で何とかしろということなのだが……駄目だ、今のパルスィには勝てそうにない!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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