リデュースも間に合わず、被弾しそうになったまさにその時、俺の目の前に紫色をした空間の裂け目が飛び出した。これはスキマだな? スキマに弾幕が飲みこまれ、アールバイパーは無傷で済んだ。き、肝が冷えたぜ……。

紫「ちょっと暴れ過ぎよ? この日を妬むのは勝手だけれど、他人の幸せまで奪う権利は無いわ。少し頭を冷やしなさい!」

弾幕を防いだスキマからその持ち主がニュっと現れる。閉じた扇子をビシとパルスィに向けて言い放つ。
本来騒ぎを起こしてはならない人里でこれだけの人数で暴れたのだ。ただ事ではないと妖怪賢者自らが出向いたのだろう。

対する嫉妬妖怪はそのたった一言でピタリと大人しくなった。流石紫さんだ。これだけで相手を威圧してしまうのだから。

パルスィ「……うっ(グスッ)……うぁーーーん!!!」

そして今度はペタリと座り込んで大泣きしてしまった。泣きながら何かをわめいていたようだが、ほとんど聞き取れない。

「自分もバレンタインのイベントに参加したくチョコレートを作ろうとしたものの、料理など慣れておらず全く上手く出来なかった」、「仕方なく買い置きのもので臨んでみたものの、知り合いに親しい男性がおらず、地上に向かい見ず知らずの男にチョコレートを受け取るようにと申し出たが、相手が気味悪がって誰も相手にしてくれなかったこと」、この二つの理由からこんな日無くなればいいのにと、同じくこのイベントと縁のなさそうな人間の嫉妬心を利用して、人里のカップルを狙って暴れていた。

要約すると大体こんなことを口にしていたようである。

全てを話し終えると彼女も少し落ち着きを取り戻したようで再び静かになった。頭はうなだれたままだ。

紫「そう……、孤独なオトメが招いた悲劇……ね。さて、人里は人間が安心して暮らす為にある場所。こんな所で妖怪が暴れるのはタブーなのは知っているわね? 幻想郷の人間と妖怪のバランスを崩そうとした……とも言えるわよ? どんなオシオキが待っていようとも文句は言えないわよね……」

エルフ耳の少女の真上にスキマが発生し、呑みこもうとクワっと口を開いた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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