八雲紫に幻想郷に住むことを許されて数日後……。

今も俺は命蓮寺に厄介になっていて、そして時にはいつも自分を救ってくれた銀翼「アールバイパー」を駆り、ちょっとした異変を解決したりしている。
いや、異変と呼ぶにはあまりに小規模なのであるが……。

今はアールバイパーを飛ばしている。人里を抜け、森林地帯を慎重に切り抜け、花畑と思わしき場所まで相手を追いつめていた。

人里のとある人間からの依頼で、悪さをする妖怪を懲らしめてくれというものであったが、思いのほか逃げ足が速くこんな所まで追い回す羽目になった。

貴方「だが、もう逃げられないぞ……」

青白いレーザーを放ち、そして自身が大きく動くことで、なぎ払うように照射する。地表の白い花が散っていく……。だが、相手もそれをするりと回避してしまった。

貴方「それならば……」

攻撃の手数が少ないというのならば、更に火力を上げよう。

貴方「オプション展開っ! 来い、ネメシスっ!」

ネメシス人形を呼び寄せたのだ。機械的なボイスで「オプション」と流れる。

そう、武装の装備やオプションの展開は俺の声で行われる。俺以外の誰かがいくら叫んでもアールバイパーの兵装は展開されないのだ。最新式の音声認識……なんだとか。
当然スペルカードの発動も音声認識だ。だが本来弾幕ごっこでスペルカードを使用する際には宣言する必要があるので理にはかなっている。
なお突貫工事的に付加されたリデュース機能だけはボタンを押して発動させる。
どの道俺以外が銀翼を使い戦闘をすることは不可能なのである。悪い人の手に渡っても悪用されないようにとつけられた機能なのだ。

さて、俺の叫び声に反応し、自機に格納されていた人形「ネメシス」を呼び出される。そのまま彼女を自らののオプションとして追従させた。オプション状態のネメシスはオレンジ色をした魔力のオーラを纏う。この状態の時は勝手に俺の動きを真似して動いてくれるのだ。

二倍に跳ね上がる火力、二本のレーザーが今度こそ標的を追いつめる。

だというのにまだ当たらない。何てすばしこい奴なんだ……。だが、相手も逃げるだけではなかった。弾幕、流石に逃げのびることは困難と判断したのか、遂に反撃を開始してきた。そして相手は逃げるばかりだとたかをくくり、標的を追いかけることしか頭になかった俺にはそれに反応する事が出来なかった。

かなりギリギリの位置をかすめた。それでも衝撃は凄まじく、機体全体が大きく揺れる。撃墜させたと安心して妖怪はニヤリと笑うと、踵を返し更に逃げようとする。ははは、やはりあまり頭は良くないようだな……。

貴方「操術『オプションシュート』!」

振りかえった妖怪めがけてオレンジ色のオーラを纏ったネメシスが一直線に突っ込む。そして、爆発した。厳密にはネメシスの纏っていた魔力のオーラを爆破させたのだ。使用後は魔力切れでしばらくオプションが使い物にならなくなる諸刃の剣。だが、威力は絶大だ。特に油断しきって相手に背中を見せた奴には特に有効だったようだ。

思わぬ一撃で伸びる妖怪。あとはこいつを依頼主のところに引き渡せばミッション完了だ。

機体のダメージも気になるし、引き渡したら今日はもう帰ろう……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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