一人で出歩くと、途中で倒れてしまうリスクがある。ここは命蓮寺で大人しくしていた方がいいだろう。

客室に通され、いよいよ本格的に厄介になることになった。相変わらずシンプルな部屋だが、大きめの鏡が置かれている。そこに映し出される自分の姿を改めて確かめた。

端正な顔立ち、すらりとした腰回り。曲線美という言葉の似合う流線型のボディラインはまさしく女性のそれであった。しかし俺は俺。心は男のままだ。なんだか着ぐるみを着ているような違和感はどうしても拭うことは出来ない。

違和感を体現している胸のふくらみをむにむにと弄ってみる。ううむ、ふにふにとするし感覚も本物だ。触られた感触もしっかり伝わる。着ぐるみとかではなく本当に俺の体のようだ。

そうやって自らの体をペタペタを触れていると……

ナズ「女の体はそんなに珍しいかい、命? ……いや○○」

背後から自らの本名を呼ばれ小さく悲鳴を上げて振り向く。悪戯っぽく笑うネズミの妖怪が部屋に入り込んでいたようだ。

ナズ「おや、『どうして正体を知っている』と言いたそうな表情だな。知るも何も自分で『アールバイパーで出撃中にメディスンの鈴蘭毒にやられた』と公表しただろうに。聖は信じていないようだけれど私は確信したよ。いままでの不可解な現象と合わせると説明がつくのさ」

ニヤニヤと俺の周りをゆっくりと回りながら述べるナズーリン。彼女が言うには、どうやら彼女が最初に不時着したアールバイパーのコクピットに乗っている俺を見つけたとのこと。

ナズ「○○が大切にしている乗り物だ。他の人に操縦をさせるとは考えにくい。そうだろ?」

コクリと頷く。銀翼に誰かを乗せることはあっても操縦桿を握らせるようなことは絶対にしない。これは俺の翼だし、これがあるからこそ幻想郷で生きていけるのだから。

ナズ「……となるとあとはその鈴蘭妖怪の毒をどうにかする手段だな。聖があんな状態なので頼ることは出来ないだろう」

彼女はダウジングに使用するロッドを取り出し、外へ飛び出そうとする。

ナズ「どうにかする手段を探して来てる。仮にも毒を受けているんだ。いずれ命を蝕むかもしれない。君はここで待っていてくれ。外に出ている間に倒れたら流石の私もフォローできないからね」

それだけ言い残して部屋を出ていってしまった。早く元に戻る手段を得たいものだが……




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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