出よう。こんな中で少女一人見つけるだなんて無謀にも程がある。帰ろう。
俺は上に向けてショットを打ち込み、突破口を開く。あとはあそこから竹林を抜けて一気に人里まで飛べばいいだけだ。とんだ無駄足だったが、仕方ない。勝手に出ていったのは俺の方なのだから。
俺は事情をしっかり理解していないとはいえ自分を何とかしようとしてくれた仲間たちを蔑にして一人で行動したことを悔いていた。特にムラサにはしっかり謝らないとな……。
???「コンパロー、コンパロー」
嫌な声が聞こえた気がした(コンパロ?)。慌てて周囲を確認すると、少女が一人いた。だが竹林に詳しいという白髪の少女ではなかった。逆に今一番遭遇したくない方である。
メディスン「毒にやられた人間さんが慌てて駆け込む場所っていえば病院だよね? この竹林には私も来たことあるし銀の翼さんが竹林に入ってくのを見つけてつけていたのよ」
おのれメディスン。こちらの行動を先読みしていたのか。確かネメシスをまだ持っていた筈だ。
……いやいや待て待て。今は戦いに来たのではない。今は構わずにとっととこの場所を離れてしまおう。彼女を無視して竹林から離れようとする。
メディスン「逃がさないわよ。コンパロー、毒よ集まれっ!」
周囲に薄紫色のガスが充満する。毒に間違いないだろう。先程から口ずさんでいる「コンパロ」ってのは毒を操る呪文のようなものなのかもしれない。幸いアールバイパーの中にいるので毒にやられる事はないだろう。
そう、アールバイパーのことを知らない幻想郷の住民たちは皆「変な形をした鳥の妖怪」と称しているが、アールバイパーは超時空戦闘機。紛れもなく機械なのだ。毒など通用しない。
しない……はずなのだが、妙にバイパーの挙動がゆっくりだ。スピードは最大にまで上げているというのに、まるで水あめの中を突き進んでいるかのようなモッタリ感。
メディスン「私の毒は毒でありながら、弾幕でもあるの。今の霧は素早く動くものを鈍化させる毒の霧よ」
滅茶苦茶だ。毒霧から抜ければ元の速度に戻るようなのだが、次々と霧が立ち込めてくる。
じわりじわりとこちらの動きを制限して、動けなくなったところをいたぶるのか……。随分な性格だ。
背後からの弾幕など回避できる筈もなく、これではじり貧である。助けてひじりん。
尚も速度を上げて毒霧地帯を抜けようとする。よし、抜けたぞ!
しかしエンジンに無理をさせ過ぎてしまったのか、抜けたと同時に制御がきかなくなる。急に抑圧から解放されたのと、被弾のダメージが原因だろう。凄まじい勢いで飛びだすアールバイパー。急に襲いかかる重力に耐えられずに俺は気を失った……
気を失いつつも、その後満身創痍の銀翼が少しずつ落ちていくのを感じ取っていた。そしてそれが自らの最期の時であることも……。
………………
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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