ホワイトアウトしていた視界がぼんやりと戻りゆく。じめじめとした空気を感じ取る。俺に語りかける声が、女の人の声が心地よい。ついでに後頭部をふんわり包む柔らかさも心地よい。
ここは……どこだ? 随分と陰鬱な場所だ。黄泉の国ってオチはないだろうな……。
???「なでなでー。あっ気が付きました?」
赤い服の少女に膝枕をされていたようだ。後頭部に当たる柔らかな感触ってのは彼女の膝のものか……。更に意識が覚醒すると、あまりの状況に自分が置かれていることに気が付き、驚き飛び起きる。まさか、またもやあの鈴蘭人形の妖怪っ……!?
……ではなかった。目の前にいる少女は確かに赤い服を身に着けており、顔立ちもまるで人形のように整ってはいたものの、その頭髪は長く緑色であり首元で結ぶという特徴的な髪形をしている。
???「私は人形でも妖怪でもないわ? 神よ」
神様……だと? いやいや落ちつけ。確か幻想郷には沢山の神様がいると聞いた。
貴方「黄泉の……国のですか?」
神様「違うわよぉ。私は厄神。厄神の『鍵山雛』。そんなに私の見た目って陰気臭い?」
むくれる雛は威厳があるというよりかは可愛らしい。
よく見るとスカートには「厄」という文字が書かれている。なんとも分かりやすい神様だ。と、いきなりズイっと厄神な彼女がこちらに顔を向ける。近くで見ると端正の取れた顔つきに、まるで絹のように繊細な肌を持つことが分かり、必然的に心拍数が上がる。
雛「(ちゅっ……)」
え……、今俺の口に……。明らかに口付けしてきた。唖然としながら俺は自らの唇を指でなぞる。
貴方「……///」
雛「そ、そんなに恥ずかしがらないでよ……。女の子同士でしょう? 私まで照れちゃうじゃない……///」
そうだった。すっかり忘れていたが、今の俺は少女なのであった。
雛「随分と厄を溜めこんでいたのね。貴方、とっても辛そうだった。それに……厄以外のモノも溜まっているわ……」
彼女の消え入るような口調も手伝い、一々言動がミステリアス……というかエロティック?
雛「……何となくわかったわ。今の姿は本当の姿じゃない。本当は殿方だったのですね?」
なぜそれを……? と聞いたら自分が思わせぶりな事をする度に、俺がドキドキするから百合な人か、はたまた男の人だったのかと推測できたらしい。更に先程の口付けで鈴蘭毒のようなものも感じ取ったのだとか。
この人(神様だけど)、は敵に回したくない。俺は観念して事情を話すことにした。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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