〜C県N市・空港にて〜
島風「はっやーーーーい!?」霞「うるさい島風」島風「すっごい速いよこれ!?何ノット出てるのよぉ!?」霞「静かにして」霰「巡航速度はマッハ0.8くらいだって…」陽炎「つまり大体500ノット?」島風「ごひゃく!?」霞「声が大きい」島風「お゛っ!?」霞「今度は何」島風「と、とんだ!飛んだよ!!」陽炎「あははは、流石の島風も空を飛ぶのは初めてだもんね」霰(キーン…)島風「おっ!?おーっ!!」霞「だぁーっ!!うるさいって言ってるでしょうが!ちょっとは静かになさいな!この不知火を見習って…」不知火「……」
陽炎「あれっ?そういえば不知火、さっきからずいぶん静かだけど…」不知火「……」
霰「乗ったときまでは普通だったのに」不知火「……」
霞「もしかして…」不知火「……」プルプル
島風「飛行機、怖いの?」~~~~~~~~~~
神通「…落ち着きましたか?」不知火「ええ――なんとか」
陽炎「いや-、まさか不知火が飛行機ダメだったとはねー」カラカラ不知火「だだだって、こんな大きな航空機が飛ぶわけないじゃないですか、300トンくらいありますよ」
陽炎「げんに飛んでるんだけど」不知火「嘘です。信じられません」
陽炎「あー、ダメだこりゃ」不知火「仮に飛んだとしても、伊太利亜まで飛び続けられるなんて信じられません。アウトレンジにもほどがあります」
霞「それはあたしも気になってたのよね。なんで空路で行くのよ?普通に海から行けばいいじゃない?」神通「話せば長くなりますが――」~~~~~~~~~~
霞「つまり、今度の敵は正体も不明、出現場所も不明、だからこの作戦のためにかなり広域の海域封鎖がかけられている、と」霰「海路で行くと、封鎖を抜けるときにいろいろと面倒だから…」陽炎「わざわざイタリアまで空路で行くってわけね」神通「そういうことです。敵の目撃場所はティレニア海(イタリア半島の西側の海)のほぼ全域。船を襲っては沈めていくという以外は、ほとんど分かっていることはありません。深海棲艦なのか別の物なのかすら。沈められた船が食われたように消えてしまったという証言から、敵はこう呼ばれています」神通「『ティレニアの胃袋』と―――」→