あきつ丸「やあああっ!!」

ガキィン!!

(正面から振り下ろされた刀を、アサシンは両手に持ったナイフを交差させて受け止め、さらに小柄な体躯に似合わない膂力であきつ丸の身体ごと押し返した)

あきつ丸「なっ!?」

(体勢を崩したあきつ丸にアサシンが追撃しようとするが、榛名の砲弾がこれを阻止。アサシンは一旦霊体化して砲弾をかわし、今度はあきつ丸の背後から首筋を狙っていくが、この動きは予想していたあきつ丸の刀によって弾かれた。しかし--)

榛名「きゃあっ!」

(突如として榛名の砲塔の一つが爆発した。アサシンが霊体化する直前にメスのようなナイフを投擲し、砲口から滑り込ませていた為であった)

比叡「榛名!大丈夫!?」

榛名「第一砲塔がダメ…でも、まだやれます!」

あきつ丸「--ぐっ!!」

(今度はあきつ丸がすれ違いざまに左手首の腱を切り裂かれ、軍刀を取り落としうずくまった。アサシンは続けて、あきつ丸の背中から肺腑を貫こうとナイフを翻すが--)

ガキンッ!!

(不知火が砲塔を盾にしてナイフを受け止めていた)

あきつ丸「不知火殿!平気なのでありますか?」

…明石さんに応急処置をしてもらいました。選手交代です。あきつ丸さんは司令とまるゆさんを頼みます。

あきつ丸「しかし、その足では…」

貴女よりはマシです。それに、早く服を返してあげないと、司令が風邪を引いてしまいます。

あきつ丸「くっ…」

(不知火の屁理屈に、あきつ丸はこれ以上の問答は無駄だと諦め、クルーザーへと向かった。不知火は油断なく主砲を構え、アサシンに向き直る)

…待たせたわね、小娘。第18駆逐隊、不知火…出る!

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(霧島は明石の治療を受けながら、不知火たちとアサシンの一進一退の攻防を見守っていた)

霧島「まったくあの子は…本当にじっとしていられないんだから…」

明石「ホントにねぇ…“あいつの攻撃は見切った!”なんて豪語してたけど、大丈夫なの?」

霧島「そのことなら問題ないわ。私もある程度あいつの癖は見えてきたし」

明石「癖?どういうこと?」

霧島「ねぇ、私の傷を見てどう思う?」

明石「…たいしたものだと思うわ。一撃で足のもっとも弱いところを切り裂いてる。こんな芸当、人体の構造を知り尽くしてないとできることじゃないわよ…でも、それがアイツの癖と関係あるの?」

霧島「大有りよ。どういうわけか、あいつは艦娘の体を知り尽くしてる。でもそのせいで、あいつの攻撃は身体か艤装の急所を狙ったものがほとんどなのよ。だから目が慣れれば攻撃を読むのは不可能じゃないわ」

明石「でもそれって…」

霧島「さあ、早く手当てを済ませて。あの子だけじゃ火力不足なのは分かってるでしょ?」

明石「はいはい。まったく、じっとしてられないのは貴女も同じね」


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