金剛「Hmmm...」

(不知火を砲撃でサポートしながら、金剛は思索にふけっていた)

金剛「ナイフ…Bodyを知り尽くしてる…どこかで聞いたような…?」

比叡「お姉さま、あの子の正体を知ってるんですか?」

金剛「Uh...何か思い出せそうなんデスが…」

比叡「私はまったく心当たりがないんだけど…もしかして英国の子ですかね?」

金剛「英国?Hmm...」

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(1912年、英国のバロー・イン・ファーネス造船所では、進水を間近に控えた戦艦金剛の建造作業が夜を徹して進められていた)

作業員A「なあ、昼間に警察の奴らが来てたけど、ありゃなんだったんだ?」

作業員B「なんでも、88年の殺人事件の捜査なんだとさ。まったく、ロンドン市警の連中も暇なのかねえ」

A「88年?...ああ、アレか」

作業員C「何なんすか?88年の事件って…」

B「はあ?お前知らないのか?まったくこれだから最近の若い奴は…いいか、そいつは世紀の連続殺人犯!被害者は娼婦ばかり、みんな夜中にナイフで体中を切り裂かれて殺された」

A「しかもそれだけド派手な殺され方をしてるってのに、誰もその姿を見てねえっていうんだ。おかげで20年以上たった今も犯人を捕まえるどころか、見当すら付いちゃいねえって話だぜ」

B「手がかりといえば、殺され方くらいだな。何でも腹を捌かれて内臓を取り出されてたんだと。人体の構造を知り尽くしてなければできないことだから、犯人は医者だ!ってよく言われてるな」

C「内臓!?うげ~っ!メシ前に聞くんじゃなかったー!」

A「はっはっは!」

--クスクス。

A「あん?誰かなんか言ったか?」

C「何も言ってないっすよ?」

B「連続殺人犯だったりしてな?ヒヒヒ」

C「もう勘弁してくださいよ~!」

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(翌年、戦艦金剛は無事竣工し、日本へと旅立つこととなった)

A「じゃあな、コンゴー。日本でも達者でな!」

B「やっぱアレだな。手塩にかけて育てた娘が貰われていくときの気持ちって奴だな」

C「うう、感無量っす~」

--クスクス。買ってくれる人がいてよかったね。お ね え ち ゃ ん--

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金剛「----!!」

比叡「お姉さま!!」

ドスッ!!

(思索にふけった金剛が集中力を途切れさせる瞬間を、アサシンが見逃すはずがなかった。音もなく投擲されたナイフは、金剛の脇腹に深々と突き刺さっていた)

比叡「お姉さま!お姉さま!!」

(薄れ行く意識の中、金剛はようやく思い出すことのできたその名をつぶやいた)

金剛「Jack... the Ripper切り裂きジャック...」


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