(氷を染め上げた血は不知火のものではなく、右の肩口に不知火の四本貫手を受けたアサシンのものだった。アサシンが目を上げると、地面だけでなく、空もまた赤く染まっていた。水平線に上る暁の光によって--)

沈め……沈めッ!

(主砲2基による連撃が負傷したアサシンに追い討ちをかける。命中はしなかったが、無理やり脱出したため肩の傷は広がった)

アサシン「……」

(マスターによる2度の支援は使い切った。自前の能力によって治癒は可能だが、それには相手に隙を晒す必要があった。幸い相手も手負い、“霧夜の殺人”がなくても攻撃力ではこちらに分がある。攻撃すべきと判断するが……それは思わぬ方向からの攻撃によって阻まれた)

「敵艦発見!全砲門開け!!」ガォンッ!!ガォンッ!!

陸奥さん…みんな!

陸奥「待たせたわね。ふ~ん、その子が切り裂きジャック?あらあら、こんな小さい子がねえ」

アサシン「くっ!」

ガキィン!

龍田「うふふふ、手癖の悪い子ね?天龍ちゃんをあんな目にあわせて…許さないんだから…!」

青葉「さぁー!青葉も追撃しちゃうぞ!」ドウッ!ドゥッ!

衣笠「ほらっ!もう一発!」ドウッ!ドゥッ!

(周囲は百隻以上の艦娘によってとり囲まれていた。アサシンが足を止めるたびに、砲弾が、爆弾が、斬撃がその身を襲った)

--こっちよ。

アサシン「?」

バキャァッ!

(いつの間にかアサシンの背後に回りこんでいた不知火の鉄拳がアサシンの顔面を襲い、前歯が数本宙を舞った)

さあ、追い詰めたわよ切り裂きジャック。よくも今まで散々痛めつけてくれたものね…

(仲間たちの存在は、不知火に冷静さを取り戻させていた。だが、その身に宿った怒りの炎は先ほどと変わらず燃え上がっていた。そして、その思いは艦娘たち全員が共有していた)

“わたしたち”を---

『---怒らせたわね…!!』


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