木曾(ぐ…この霧、何でできているのかは知らないが俺達艦娘でも耐えがたいほど強力だ、提督では耐えるのも難しいだろう。早く見つけなければ…)

木曾「提督!提督はどこだ!」

(木曾は深い霧の中僚艦だったほかの艦娘とはぐれ一人提督を探してさまよっていた)

提督「ゲホゲホッゲホッ!」

木曾(あそこか!)

木曾「見つけた…!提督、大丈夫…ッ!」

ガキィン!

おっ、すごいね

木曾「テメェ、アサシン!」

(木曾は奇襲したアサシンをかろうじて持っていた軍刀ではじいた)

くすくす、みんなばかみたいだね
さっさとにげればじぶんたちの命はたすかるのに


(そう言うとアサシンは痛みで呻きながらなんとか逃走しようとする提督を足で押さえつけた)

わざわざこの人をたすけるために危険をおかすなんて

木曾「テメェ…!」

(木曾は挑発と分かっていても頭に血がのぼってしまっていた)

(そしてふと、気になって周りを見渡すと体中に深い傷を負って倒れている艦娘が多数いた。そしてその中には姉妹艦である球磨と多摩の姿もあった)

木曾「こいつら…」

くすくす、いったでしょう?『さっさと逃げればよかったのに』って
まあ、この霧にのまれたらもうでられないんだけどね


(そう、アサシンは提督を餌にして艦娘をおびき寄せ救出に来たところを一撃で倒していた。まるで提督を使って釣りをするかのように
そのために簡単に殺せるはずの提督を殺さず、非常に苦しむが死なないラインで生かしていた)

木曾「テメェ、許さねぇぞ!」

おねえちゃんに許されるひつようなんかないもん

木曾「ゲホッ、こちら木曾!誰か応答を!」

木曾(あいつはやばい、今までの敵とは次元が違う!まだ何か隠し玉があるかもしれない、せめて、せめて今の状況だけでも連絡を―――)

じゃあ、バイバイ

木曾「く、おおおっ!」

ザシュゥッ!

(善戦むなしく木曾は倒され、霧の暗殺者は再び次の獲物を狙うために霧の中に姿を隠した)

~~~~~~~~~~

伊勢「どうなってるのよ、この霧…ゲホゲホッ」

阿賀野「ゲホッ、能代、能代!」

(伊勢と阿賀野、能代は最初アサシンと戦った場所から動いていなかった。能代が重傷を負っていたからだが、硫酸の霧に呑まれてしまった今能代は急速に衰弱していた)

伊勢「ゲホゴホッ、まずいわね…この深い霧と極度の緊張で同士討ちが発生してるわ。能代をなんとかここから脱出させないと…ガッ!?」

阿賀野「伊勢さん!?まさか―――」

伊勢「ぐっ…いえ、これは味方よ!こちら伊勢!敵ではないわ!」

(霧の中から現れたのは陸奥と青葉、衣笠、不知火の四名だった)

青葉「だ、大丈夫でしたか?すみません、ゲホッ、私が焦っちゃって…」

伊勢「これぐらいなら問題ないわ…そちらはどう?」

陸奥「ゲホゲホッ、だめね、探照灯はほとんど壊されてしまっていて残ったものを使っても光がとおらないしバラバラに分断されてしまったから誰が無事なのかもわからないわ…」

ザザ…ザザザ……

「!」

(木曾「ゲホッ、こちら木曾!誰か応答を!」)

陸奥「こちら陸奥!ゲホッ、聞こえますか!」

伊勢「駄目ね、聞こえてないみたい。故障してしまっているようね…」

(じゃあ、バイバイ)

(木曾「く、おおおっ!」)

ブツッ、ツー、ツー…

衣笠「くっ、なんて相手なの、やっぱり深海棲艦とはまるで勝手が違うわね…」

青葉「それに、なぜか同じところを回っているような気がします。この霧の効果でしょうか…」


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