アサシン「くすくす。見て、おねえちゃん!」

(アサシンが翳した手の先には、夥しい血の川と、もはや呻き声さえ上げない負傷者の群れがあった)

雪風「しれぇ!みんな!」

アサシン「おねえちゃんが悪いんだよ?なかなかわたしたちのところに来ないから。おねえちゃんが早く来てれば、こんなことにはならなかったのに…」

雪風「……許せない!」

雪風、司令と皆をお願い。…そうねジャック、貴女の言うとおりだわ…だからここで、終わりにしましょう。

(不知火は掴み取ったナイフを右手に構え、戦闘体勢をとる)

アサシン「やっとその気になってくれたんだね、おねえちゃん。わたしたちを、楽しませてね?」

ええ、楽しすぎて吐くくらいにね。覚悟なさい…!

(ナイフを持った右腕を下段に構え、代わりに主砲の可動アームを鎌首をもたげる蛇のように動かして照準を合わせる。同時に左腕で肩掛けの主砲を、更に両太股の機銃も正面に向ける)

主砲、機銃、撃ち方用意!斉射!!

ドォウッ!!

(全門斉射の轟音とともに、最後の戦いが幕を開けた)

~~~~~~~~~~

(正面から向かってくる弾幕に向かって、あえてアサシンは飛び込んだ。不知火自身が生み出した爆煙が絶好の煙幕となるからだ。砲弾の隙間を縫い強襲を仕掛けるアサシンだったが--)

ガキィィン!!!

(煙幕を利用したのは不知火自身も同様だった。突進した不知火によって、突きの体勢に入る前に間合いを詰められ、鍔迫り合いの格好になる)

--しっ!!

(左四本貫手でアサシンの胸元を狙うが、アサシンはナイフを手放して跳躍しこれを回避。不知火はバランスを崩すが、逆にこれを利用して逆立ちとなり、カポエイラの逆さ回し蹴り“メイアルーア・ジ・コンパッソ ”で上から襲い来るアサシンを弾き返した。更にアサシンはナイフ2本を投擲するが、不知火は拾ったナイフを合わせての二刀流で、アサシンの着地地点に向けて回転を付けて跳ね返した)

アサシン「やるじゃない?じゃあ、これはどうかな?」

(着地寸前にアサシンは霊体化して姿を消す)

ゴッバアァァァン!

(ナイフの飛んでいった方向から爆音。駆逐艦の誰かが道中での補給のために輸送してきたドラム缶に命中、重油が爆発したのだ)

……

(不知火は目を閉じる。いつ、どの方角から来るか分からないアサシンの攻撃に対処するには、視覚情報はむしろ邪魔だったからだ)

ッ!

(左斜め後方から首筋を狙ってきた斬撃を、体を僅かに捻って肩で受ける。ナイフを持つ手が止まったのを見逃さず掴み取る…それは先の夜戦で天龍が仕掛けた策の再現だった)

セイッ!!

(ここから不知火は一本背負いの要領でアサシンを投げにかかる。ただしスポーツである柔道とは異なり、普通に受ければ肩を脱臼させるか腕をへし折るかの結果となる、危険な投げ方だ。これにはアサシンも回避不能と判断し霊体化して退避、距離をとったところで実体化した)

アサシン「あははははっ!面白い、面白いよおねえちゃん!でもこんなのじゃ、ぜんぜんたりない!もっともっと楽しませてみせて!」

来なさいジャック、この不知火がすべて受け止めてやる!


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