長門「大体は想像がついていると思うが、我々は正体不明の敵に襲われ…幸運にもそれを退けることができた」

天龍「正確に言うと、講和を結んだ、ってことらしい…オレも倒れてたんでよく分かんねえんだが、青葉のヤツが上手くやったみてえだ」

長門「その際に向こうが要求した事項が2つ…“神秘の秘匿”と、“艦娘1名の貸与”だ」

--!

彼ら、ですか……

長門「そういうことだ」

天龍「提督も結構な大怪我だったんだが、上への説明が必要だってことで…無理を押して…まあ実際には動ける奴らを使って頑張ってるんだが、この先どうなるか…」

長門「流石に、上にも“彼ら”のことは話せない。あくまで“正体不明の敵”として報告せざるを得ないのだが…」

上がそれをどう受け取るか…“何かを隠している”と受け取られでもしたら…

長門「場合によっては、鎮守府ごと解体、などということにもなりかねん」

雪風「!」

天龍「おい長門、そんなハッキリ言わなくても…」

長門「いや、今のうちに覚悟だけはしておくべき…」

「その必要は、なくなりましたよ」

…青葉さん!?

青葉「はぁ…はぁ…へへへ、最新ニュースです。軍令部は、今度の件を“なかったことにする”と決めました」

長門「どういう、意味だ?」

青葉「完全に“我関せず”です。こちらを処分しない代わりに、何の情報も取らない、報告も聞かない、むしろ何も話すな…まあ、実質の緘口令ですね」

天龍「おいおい、深海棲艦より強え奴らが鎮守府を狙ってるかも知れねえんだぜ?そんなことでいいのかよ?」

…青葉さん、どこかから圧力は掛かっていませんか?

青葉「さっすが不知火ちゃん、鋭いですね~。そう、どうも上の上…政府クラスのほうから揉み消しが入ったみたいです」

長門「何だと?」

…やはり…つまり、ここでも“神秘の秘匿”が絡んできているわけです。余程知られては不味いと考えている者が上にいるのでしょう。むしろ、秘密裏に消されなかった幸運を喜ぶべきです。

青葉「流石に、鎮守府1つ消すのを誰にも知られずにやるのは無理だと判断した、ってことですかね」

天龍「おいおいおいおい、そんなにやべぇ話なのかよ!」

雪風「むしろ、青葉さんがどうしてそこまで知ってるのか気になるんですけど…」

青葉「ふふふーん。ジャーナリストの情報網を舐めないことですね!」

…ところで、もう1つの“艦娘1名の貸与”の方なんですが…

青葉「あ、青葉が行きます」

そんな、危険です。不知火が…ツッ!

天龍「馬ッ鹿。今のおめえの方がよっぽど危険だ」

青葉「青葉のことは気にしないで下さい。実際、魔術師とか過去の英雄を取材できるんですから、青葉個人にとっては等価交換どころかプラスです。司令官にも取材旅行って言ってあるんで、秘密にしといてくださいね?」

長門「ま、薄々気づいてはいるだろうがな」

青葉さん…くれぐれも無事で…

青葉「わかってますって!さて、そろそろお迎えが来るころですね。不知火さんも来ますか?」

…当然です。

雪風「あ、肩貸しますね!」

長門「うむ、では行くか」


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