(青葉たちが病院の扉を出ると、翠緑の服を着た少女が待っていた)

汝が青葉か、準備はできたのか?

青葉「はい、できています」

良かろう、では行くとしよう

不知火「待ってください!」

(その少女が出発しようとすると不知火が鋭い声で遮った)

どうした、不知火

不知火「あなたたちは敵なのですか、味方なのですか!?」

今は味方だが?

不知火「今は、とは?」

今はお互いの利害が一致したため停戦している。相応の対価を示せばよほどの事でもない限りマスターも協力するだろう、故にだ

長門「待て。…幸運にも今回は死人が出なかったが一歩間違っていたら大勢死んだかもしれない、しかしあなたならば止められたかもしれない。なぜ止めなかった?」

それが我らにとって必要だったからだ。能力が大幅に制限され、弱体化していたとはいえ不知火はライダー相手にかなり善戦していた。故に、艦娘がどれほどの戦力を持つのか、それが我らにとって脅威になるほどなのか調べる必要があった

長門「しかし…ッ」

それに、此度の戦いでこれだけの大きな被害を出してしまったのは偏にそちらが弱かった結果だろう。汝らがもう少し強かったなら、あるいは結果が変わっていたかもしれない

長門「ぐ…」

(一連の言葉に長門は言い返すことができなかった)

それに幸運にも、だと?こちらが殺さなかったから、汝らは死ななかった。それだけだ

天龍「どういうことだ?」

アサシンはこの戦いの条件として、マスターから『不殺』が命じられていた。故に、汝らは殺されなかった。

『不殺』が命じられていなかった場合、おそらく汝らは皆ここにはいなかっただろう。十中八九気づかれる前に殺しただろうからな。それだけの話だ

……そのほかに聞きたいことはあるのか?

不知火「最後に、一つ。今回の騒動について上から厳しい緘口令が敷かれました。そちらのマスターは知っているのですか?」

知っているも何も手を回したのはマスターだ

不知火「…理由について、聞いても?」

さてな。『教会』に目を付けられると面倒だ、とは言っていたが…

本当の理由は本人に聞かないとわからないだろうし、教えてくれないだろう

さて、他に何か?

(そう答えるや否や青葉を荷物ごと抱え上げ、)

青葉「え?ちょっ、せめて背中で背負って下さああぁぁぁぁぁぁぁぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……………………」

(走り去っていった。米俵のように担がれ、若干涙目になった青葉の顔は早々忘れられないだろう)



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